茶療

茶療の歴史と理論

私が情報発信をしている茶療は中国にいた時に中医専門家の方々が教えてくれたお茶の知識をベースに体質・季節に合ったお茶を提案させていただいています。

ご好評いただいているようで、サロンに来て下さるお客様からも茶療に関しては質問をよくいただいています。

中国では中医理論のもと養生習慣として季節ごとに違ったお茶が飲まれています。

日本人は日ごろからお茶を飲んでいる方が多いので、季節の養生として飲んでいただくと身体の調節にもなって良い効果をもたらしてくれると思います。

今回はざっとですが、中国茶の茶療の歴史茶療理論の簡単な紹介をさせていただきたいと思います。

中国の中医スタッフは自分で薬膳茶を作るのが習慣

中国で中医医療に関わっていた時ですが、医療スタッフは皆自分のマイボトルを持参していました。

中身は自分でブレンドした薬膳茶です。

毎朝、季節・自分の体調に合わせた薬膳茶を作ってくるのです。

スタッフ皆お茶の知識を持っていて、季節によって飲むお茶の種類を使い分けてスーパーで薬膳茶となる材料を調達して作っていました。

中国のスーパーは薬膳にも使われる中医生薬が比較的安値で手に入ります。

薬膳茶の配合はスタッフそれぞれベースとなる茶葉・生薬材料のブレンドの知識を持っていて、中には家代々伝わる薬膳茶レシピがあるスタッフもいました。

彼らと同じように薬膳茶を毎日作ろうとすると日本では材料の調達から値段まで高くなってしまう為、なかなか難しいのが現状です。

しかし、お茶単品でも養生として飲んで健康を維持する方法があります。

それが茶療であり、そのベースには中医学の陰陽五行が活かされています

中国ではお茶を養生として飲んでいた歴史も長く、中医学と同じように積み上げられてきた歴史があるのが特徴です。

茶療の歴史

ここで少し茶療の歴史に触れてみようと思います。

皆さんは「神農本草経」という中国最古の薬物書はご存じでしょうか?

「神農本草経」は神農という神が草木の薬効を調べた365種類の生薬が集録されている書です。

この神農がいた時代(4000~5000年前)はお茶を解毒の為、薬物として使用していたようです。

それから古代の中医師は、病気にならない為に身体の陰陽バランス、気・血・水の状態を整えるためにお茶を飲む養生指導をしたと言います。

つまり、1000年以上もの間お茶は養生として飲まれていたのです。

養生の古文書にはお茶について「茶は万病の薬」と記載されています。

これは、中医養生の“未病”(病気に至らないようにすること)にも通じており、何か病の前兆がある時にお茶を飲んで身体の陰陽、気・血・水を調整していたことになります。

これは、“未病”の症状が出る前に病気の根を摘み取る行為です。

また、茶療は「茶経」という唐の時代にまとめられた経典の知識と思想がベースに入っています。

「茶経」には儒教の中庸思想が入っていて中国茶道についても書かれている経典になります。

中庸とは儒教の言葉で、偏らない・調和がとれている、という意味の言葉です。

「茶経」は中国茶道の考え方・作法の他に養生でお茶を飲むことについても書かれてあります。

このような中国の歴史から、お茶が心・身体の平衡を整えるために飲まれていたかがお分かりいただけたかと思います。

中医理論と茶療

季節や自分の体調によって使われるお茶の種類には原則があります。

これは中医薬と同じ陰陽五行の原則で季節お茶の性質・性味が関わっています。

お茶葉には寒・熱・温・涼四気、そして辛・酸・苦・甘・咸五味があります。

この茶葉の成分の特性を生かして季節の養生に合わせた飲み方をします。

例えば、私達日本人に馴染みのある緑茶ですが、中医で成分分析をすると寒性、涼性の属性であり清熱解毒の作用があります。

つまり、緑茶は身体を熱から冷ます作用があることになり、冬に飲むには適さないものとなります。

冬は外気温が寒く陰気が盛っている時期ですので、身体が冷えてしまうのは困りますよね。

そのため、茶療では冬に緑茶を多く飲むのは身体を冷やすことに繋がり、冬に体質を整えるのに緑茶は適さないものとなります。

では冬に適してるお茶の種類は何かというと、身体を温める温性のものが当てはまります。

温性のものは発酵茶でお茶の色に紅みのある紅茶・プーアル茶が該当します。

このように、お茶の性質・性味を理解した上で季節に合ったお茶を飲むと身体の調整・養生に繋げることができるのです。

また、体質によっては冬に熱がこもってしまう火属性の体質の方も特定の時間に身体を冷ます緑茶を飲んでいただく方法もあります。

この飲み方にはお茶を飲む時間帯を指定する方法で、子午流注法が関わっています。

サロンに来ていただいた方には体質に合わせたお茶の種類飲み方時間帯も合わせて提案させていただきます。

子午流注法

茶療ではこの通り、季節に合わせた飲み方で養生するのを基本としますので、1年中同じ種類のお茶を飲むことは推奨していません。

また、これからもブログで季節に合ったお茶の飲み方を提案していきたいと思いますので、ご支援の程よろしくお願いいたします。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。