茶療

冬に熟成プーアル茶

中国茶療では冬に茶色の発酵茶を飲むことが養生に良いとされています。

茶葉が茶色の発酵茶とは代表的なものに紅茶、そして今回取り上げるプーアル茶があります。

日本ではあまり聞かれないですが中国でプーアル茶は、生プーアル茶熟成プーアル茶に種類が分かれています。

生プーアル茶は発酵されて日が浅いもので、緑茶同様の効果を発揮するものとされています。

熟成プーアル茶とは発酵に年数を費やしたもので、中医では10年以上熟成されたプーアル茶は中医薬にも匹敵すると言われており、別名“神薬”とも呼ばれています。

中国の冬は乾燥が日本より激しいため、乾燥で身体に異常が出た時は中医師に「数年発酵されたプーアル茶を飲みなさい」と養生指導がありました。

お茶屋さんに行ってみるとプーアル茶は餅状の丸い形で売られていて比較的お値段が高かったです。

熟成プーアル茶は中国で餅状で売られています。

幸い、譲ってくれる中国人の友人がいて熟成プーアルを冬の養生に飲む習慣をつけていました。

飲んでいると身体に潤いと保温効果が効いてくれて、乾燥に激しい中国の冬もなんとか乗り越えることができました。

今回はそんなプーアル茶の話です。

冬にプーアル茶が適している理由

プーアル茶は冬に飲むのに適しているお茶です。

プーアル茶の茶葉は紅みのある茶色で性味は甘温になります。

飲んだら身体の中の陽気をお腹から集めて身体を温めてくれる作用があります。

継続的に飲むことで、お腹から身体の温煦作用(温める作用)を強くしたり、身体の陽気を内臓に集めることで冬の寒い環境にも適応できる力をつけることができます。

そのため、身体の保温能力を保ってくれたり、冬の免疫力の強化にも役立ってくれます。

消化管である脾・胃を温めて保護する作用もあり、身体の脂肪になる余分な油分を分解する力もあります。

例えばお肉料理をたくさん食べた後に飲むと、その油分を分解してくれるのがプーアル茶です。

お肉の油分の吸収も抑えてくれるのでダイエット茶に利用されている方も多いです。

また、プーアル茶の帰経は大腸経なので、飲むことで大腸を温潤を与える、腸を綺麗にする、通便を良くすることがにも良い効果をもたらすとしています。

東洋医学を勉強している方はご存じかと思いますが、肺と大腸は相対して繋がっており大腸の気・血・水のバランスと流れを良くすることで肺気の流れを良くすることもできます。

特に冬は乾燥した冷たい空気を取り入れることで肺はダメージを受けやすい傾向にあります。

プーアル茶で大腸の状態を良くすることで、肺の状態も良くすることができるのです。

秋~冬の乾燥した時期になると痰が絡みやすい、空咳が出やすい方には特にオススメしています。

プーアル茶で大事なのは発酵工程

中国の中医界ではプーアル茶は作られる工程が大事、と言われています。

中国でお世話になった老中医師からは「人工的な発酵がされているプーアル茶は比較的短時間発酵で作られているため、養生に飲む価値はない」とまで言われていました。

お茶で健康を整える茶療では、冬に飲む発酵茶はその年に作られたものを飲んではいけないのが鉄則です。

十分に時間をかけて自然発酵されていないものはアルカリ性、酸性物質が多く含まれていて本来のプーアル茶の効能が発揮できないからです。

具体的には時間を費やして十分に発酵されて熟成されたもの方が温和で胃腸に刺激を与えず、新陳代謝を良くして身体の脂肪・毒素を身体の外に出してくれます。

人工発酵で作られたプーアル茶は上記で紹介したような効能は微弱ながらあるようですが、ほぼ緑茶と同様の効能で熟成のものにはかなわない、と中国の健康番組では言われていました。

そのためか中医師からはプーアル茶に関しては熟成されていないものを新しく買ってきたら、半年~1年は飲まずに保管して十分な自然発酵をさせてから飲みなさい、と教えられてきました。

↑茶療では発酵茶は自然発酵すると良い、とされています。この記事には紅茶を通して自然発酵の方法が書かれていますのでプーアル茶も参考にしてください。

しかし、半年~1年も自然発酵なんて待てない、という方が大半だと思いますので…

日本でもアマゾン、楽天で調べると餅状の熟成プーアル茶が売られています。

やはりお値段は高いですが、冷え性、胃腸が弱い、ダイエットといった目的で体質改善の茶療を試してみたい方にはオススメです。

プーアル茶を飲むのに適している体質

冬に特に継続的にプーアル茶を飲むと良い体質について4つ紹介させていただきます。

また、4つとも中医薬に匹敵する“神薬”である熟成プーアル茶を飲むことを勧められています。

1,冷え性

普段から低体温で四肢が冷えて冷えを感じやすい方は冬は特に温性の発酵茶を飲んだ方が良いです。

温性の発酵茶はプーアル茶紅茶が該当します。

手足が氷のように冷たくなってしまう方は熟成プーアル茶が茶療では適しています。

2,胃腸が弱い

前述の通りプーアル茶は脾・胃を温めて保護する作用があります。

そのため消化時の胃の蠕動運動を助けてくれます

脾・胃虚弱体質でしたら熟成プーアル茶は補気作用もありますので長期間、飲み続けることで胃を温めて強くすることも可能です。

これは脾・胃を強くすることで免疫力の強化にもつながります。

3,高脂血症

最近の中医の研究では熟成プーアル茶は血管を滑らかにして血管内の脂を排出してくれる作用があることが分かってきました。

特に高脂血症で悩んでいる中高年には中医師が熟成プーアル茶を飲むように養生指導をする様子が見受けられました。

こちらも長期に渡って熟成プーアル茶を飲むことで血管内を綺麗にして免疫力アップに繋げることができます。

4,ダイエット

プーアル茶は胃を温める作用があるため、胃の消化も促進してくれます。

脾・胃で消化が不十分だと脂肪としてお腹に蓄積されやすい傾向にありますが、脾・胃がちゃんと機能して消化されると脂肪は蓄積せずに排出されます。

日本でもプーアル茶はダイエット茶として売られているのをよく見ますが、中国茶療でもダイエットにはプーアル茶を常用している方が多いようです。

また、ダイエットにも効果を発揮するのは熟成プーアル茶だと中医茶療では強調されています。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。