子午流注法

子午流注法 胆経 子の時間帯(23時~1時)の養生

子午流注法、子の時間帯、夜の23時~1時について今回は解説をしていきます。

子午流注法についてご存じない方は、こちらの記事で詳しく解説をしていますので参考にどうぞ。

子の時間帯23時~1時は胆経の気が最も盛んとなる時間帯となります。

陰が極まっている時間帯ですが陽気が徐々に生じてきて陰陽が切り替わる時間帯でもあります。

この時間は胆を休める時間帯であり、睡眠をとることが非常に重要となります。

図の通り子の時間帯は陰が極まっている状態であり、陽が徐々に生じている時間帯。

中医養生では子の時間帯(23時~1時)の前に床について眠っているのが良いとされています。

上記の図にもある通りこの時間に眠っていることで、身体の陽気が徐々に出てきてゆっくり身体を回復させる流れを作ることができます。

子の時間帯は小さい陽気ですが、これは熟睡を保持してくれる役割もあるのです。

睡眠は人の心に満足をもたらします。睡眠により1日活動した疲労を取ることができて次の日覚醒したら精神状態も良い物をもたらしてくれます。

皆さんも夜更かし、睡眠不足などで覚えがあると思いますが、もしこの時間に睡眠が取れていないと日中に眩暈や気持ち悪さ、集中困難、疲労症状が出てしまうこともあるのです。

子の時間帯に睡眠で胆のケアをする

この時間帯は床に就いて胆経の筋を緩ませて気血のめぐりを充実させることが養生のポイントです。

胆経の働きは以下の通りとなっています。

胆経の働き

胆経は相火という、身体の活動調節をする働きをします。日中活動した分、しっかり胆経が緩み、気血のめぐりが充実することで活動の疲れを癒すことができると考えます。また、胆経は記憶とも関係すると考えられています。様々な経験・学習したことは胆経を通じて脳に伝わり、睡眠時間を通して記憶を作っていくと考えられています。

鈴木康玄 著 「東洋医学式 体内時刻を制すれば痛みが消える!不調がなくなる!」より引用

子の時間帯に睡眠をとることで疲労が取れる以外に得られる効果について、今回以下の2つに絞って解説をしていきたいと思います。

頭脳明晰、集中力がアップすることができる。

・飲食物の消化をスムーズにしてくれる

これら2つは胆の働きがによるものです。では、1つ1つ解説していきます。

頭脳明晰・集中力アップ

胆は肝と表裏の関係にあり「中正の官」と呼ばれ、優れた決断はここで下されます。

胆の気が虚となってしまうと気短(呼吸が乱れて息切れしやすくなる)、物事の決断ができなくなってしまう傾向にあります。

胆経は頭までも通っている長い経絡です。そこを通っている胆の気は脳の中枢神経を支えているものです。

そのためか胆は「決断を主る」とも言われ情志活動にも影響を及ぼします。

胆気が消耗してしまうと精神疾患にも関わってくると言われています。

この通り胆経は脳にも大きな影響を及ぼしているため中医養生では、子の時間に入眠して胆経をリラックスさせて疏泄を良くすることで脳をクリアな状態にしてくれます。

つまり、頭脳明晰状態を作ることができるのです。

日中の集中力アップには子の時間の睡眠が大事なのです。

人生は1つ1つの決断で成り立っています。決断が上手くいかないと誤った方にいく可能性もあるのです。

そのため、胆をケアすることは生きる上で冷静な判断・決断をする上で非常に重要なことなのです。

日々の判断・決断の他に記憶の定着や集中力を上げるためにも、子の時間帯にしっかり睡眠をとることをオススメします。

そうすることで仕事や学校、日常生活場面で自分の能力・パフォーマンスを発揮することが出来るかと思います。

飲食物の消化をスムーズにしてくれる

胆に貯蔵されている胆汁

・胃・脾の消化を助けてくれる

・身体の新陳代謝を良くしてくれる

この2つの重要な役割があります。

胆は「中精の腑」とも呼ばれ胆汁を貯蓄し、脾・胃・小腸に注入して飲食物の消化を助ける役割があります。

この機能は肝の疏泄機能によって調整されます。胆が異常になれば疏泄・胆汁の貯蔵にも支障をきたすのです。

すると、食物の消化不良にも繋がってしまいますし、気滞となり新陳代謝に影響を及ぼすのです。

子の時間帯の前に睡眠することは身体の新陳代謝を良くすることにも繋がります。

良い睡眠が取れていると、疏泄(気が滞らず伸びやかであること)が良くなり代謝が良くなるので顔色は紅くて潤いがあります。

しかし、子の時間に睡眠をとらない人は顔色が白くて疏泄が悪い状態で気滞症状が出やすくなってしまいます。

気滞状態では疲労は取れずに蓄積されてしまいます。

まとめ

以上が子午流注法、子の時間帯23時~1時の養生方法の解説となります。

陰が極まっている時間帯、この時間帯に睡眠をとることがいかに大事か理解していただければと思います。

特に寝ても疲れが取れないといった方は夜23時前には就寝する習慣をつけてみて下さい。

日中の眠気や疲労感など徐々に変化していくと思います。

引用文献:鈴木康玄 著 「東洋医学式 体内時刻を制すれば痛みが消える!不調がなくなる!」

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。