もうかれこれ3年前になりますが、中国広州省広州市にある「広東中医薬博物館」に行った時のことを書きます。
「広東中医薬博物館」は広州中医薬大学の敷地内にあります。
広州市内の大学城のいう区域にあり、比較的新しい校舎が連なっている広州中医薬大学エリアです。
三元里の校舎は年期を感じる歴史ある校舎の印象ですが、大学城は新しい建物です。
3年前の当時は博物館入り口でパスポートを提示すれば無料で博物館に入ることがことができました。
その当時、私は中医診療所で中医基礎・臨床をある程度勉強した後で中医生薬を覚える作業に取り掛かっている時期でした。
中医師の師から教えられる生薬はほぼ暗記中心で200種類の生薬を中国語で暗記することができずに悶々としていた頃でした。
その時に言語交換をしていた中医薬大学卒業生で薬剤師の黄蕊(ruiと呼んでいる) に相談したら博物館に見に行こう、という流れになったのでした。
入るや否や生薬のディスプレイが物凄い迫力。
ずっと見上げていると首が痛くなってしまいます。縦も横も生薬!
中国の中医生薬の数には圧巻です。
rui曰く大学では400種類の生薬を暗記することになります。
大学時代に暗記テストがあり、卒業して薬剤師で現場に出てもテストテストだと言います。
写真にあるように博物館で視覚的にどのくらいの数の生薬があるか見てきましたが、中国の中医師はこれだけの生薬の特徴・効能を暗記して方剤も暗記して現場にでるのです。
もう努力の賜物です。
当時は中医職種の人達と仲良くしてもらっていましたが、今振り返ると彼らは長い期間努力をして現場に立っているのです。
私自身も中医を仕事にする以上、彼らに劣らないように半端な覚悟で勉強をしてはダメだな、と思います。
師である李中医師は「中医の仕事に就くのなら継続して勉強していきなさい。一生勉強する覚悟はあるか?」とも言われてきました。
この生薬の写真を見るたびにその当時のことが思い出されます。
2階、3階と進んでいくと植物・動物性の生薬の解説がされたディスプレイが展示されています。
李時珍:明時代の医師で中国本草学の集大成とも呼ぶべき『本草網目』を著した人物。
像は木彫りで迫力がありました。
タイの薬膳・タイ古式マッサージも中医と関連がある、といった展示もありました。
タイに2回ほど旅行に行きましたが町中に中医診療所があって中医師が活躍している様子が伺えました。
他にも古代中国に記録する紙が無かった時代、洞穴の壁に方剤と生薬の名前を彫って診療所にしていたものを再現しているスペースもありました。
洞穴の中心には観音像が掘られていて、古代中国では中医診察・治療は聖なるもの、神の領域のものと捉えれていたようです。
中医に興味がある方は中国旅行で行かれても面白いかと思います。
ちなみに中国広東省広州市は中国の地図ではこのような位置となります。
广东中医药博物馆
月~土 9:00~15:45 日曜日は閉館日
住所:广州市番禺区广州大学城外环东路232号广州中医药大学内。
HPによると身分を証明できるものを持っていけば無料で入るようです。