東洋医学では感情のことを七情と表現します。
七情とは感情を七種類に分けたもので、
怒(ど)・喜(き)・思(し)・悲(ひ)・憂(ゆう)・恐(きょう)・驚(きょう)のことを指します。
この感情は陰陽五行の属性にも配属されていています。
五情配属では、木:怒 火:喜 土:思 金:悲・憂 水:恐・驚というように七情が割当たっています。
ちなみに感情に関しては陽に属して気を解放的に作用するのは喜のみで他の感情、怒・思・悲・恐は陰に属性します。
喜以外はマイナスの感情ですものね。
感情がいきすぎてしまうと老けてしまう原因になる
この私たちの生活・人生を彩ってくれる感情ですが、感情の度が過ぎてしまうと身体を傷めてしまうと言われています。
中国のことわざですが、
笑一笑十年少、愁一愁白了头
という言葉があります。
意味は、笑うと10若くなる、心配をすると白髪になる。
いつも楽しく前向きに生きるのが若々しさの秘訣で、心配ばかりしていると老けこんでしまうよ、という意味です。
感情の度を超えてしまうとその時は良いのですが、感情が長期化してしまう、又は心が落ち着いてきた辺りになると身体がダメージを受けてしまうのです。
これは身体にとって老化現象も引き起こしてしまう程の強い刺激です。
特に長期にわたって1つの感情に囚われてしまうと人体の生理活動や調整機能のバランスを失ってしまうのです。
そのため体内の陰陽バランスが乱れ気血の流れが失調、臓腑経絡の流れが乱れます。
この場合、推拿、鍼灸では気の流れが正しい方向に行くように誘導する施術を行います。
しかし、このような対処をしないまま自分で感情のコントロールができないままにしてしまうと、
体内の乱れた流れが修正されないので病気の発生源を自分で作ってしまう、
又は自分で老化を進めてしまうのです。
これは一般的に良いとされている「喜」の感情も同様で度を超してしまうとダメージを与えます。
過度の感情によりどのようなことが起きてしまう?
精神感動の影響を陰陽に分けると、過度の怒りは肝を傷めるのでこれは陰を傷つけるといえるし、過度の喜びは心を傷めるので陽を傷めるともいえるのである。
黄帝内経 素問より引用
肝は血液を貯蔵する臓器です。血の調整もしている所ですので肝がダメージを受けてしまうと瘀血、気滞といった症状が出てしまいます。女性は生理に異常が現れやすくなってしまいます。
また、喜びは過度になってしまうと陽気を消耗してしまいます。そうなってしまうと、疲れやすくなってしまいます。
精神的に激しい感情である喜怒が強すぎると、気の働きが損傷を受け、肉体的に強烈な刺激である寒暑の影響があまりに甚だしいと、肉体の機能が損傷を受けるものである。
喜びや怒りなどの精神感動をほしいままにしたり、寒さや暑さなどの肉体への刺激が度を超したりすると生命の存続も危うくなる。
黄帝内経 素問より引用
感情のコントロールができずに、夏の「暑」冬の「寒」を受けてしまうと身体の内側も外側もダメージを受けてしまいます。
これでは身体を防御してくれる免疫系が働くことができず、風邪をひきやすくなってしまいます。
まとめ
感情は自分の内面、心から出てくるものです。
理性で抑えることのできない強い感情はコントロールするのは難しいものですが、度を超してしまうと自分の身体、そして心をも蝕んでしまうものとなります。
自分の心が感じるまま感情に支配されてしまうと早老そして外邪に負けてしまう、風邪をひきやすい身体となってしまいます。
怒りが収まらない、悩んでそこから抜け出せない状態の場合、その感情が長期化してしまうのは危険です。
身体は正直で心拍数が脈で現れるだけでなく、疲れやすい、肩や腰が凝るといった症状で出てくることがあります。
その時は東洋医学系の漢方や施術を受けることで身体の気を整えることができます。
心の整理ができるようになったりと、東洋医学は身体から心の平衡を作りだせるツールとなりますので機会があったらご活用下さい。