中国の中医診療所で中医師に就いて勉強をしていた頃の話です。
中医師が診断をして中医薬・施術の処方をし終えると、その患者さんに合った養生方法について話すことがありました。
積極的に食べた方がいいもの、避けた方がいいもの、何時までに寝ること、といった養生についてです。
その中でも特定の内臓が弱っている人には「この時間帯はこのように過ごすように」と特定の時間帯に具体的な指示がありました。
それは黄帝内経に記載されている子午流注法に基づいたアドバイスでした。
今回は子午流注法について解説していきたいと思います。
子午流注法とは?
子午流注法とは中医養生には重要な考え方で時間と臓器の関係性を表したものです。
五臓六腑の各臓器は時間帯によって気を放出してその時間帯に該当する臓器を修復する時間帯が決まっています。
これは全身を巡っている各臓器の経絡も関連していて、特定の時間帯に臓器経絡の気の流れが活発・旺盛になります。
要は、時間帯によって各臓器の気が盛んになり修復をしてくれるので、この時間帯を使って治療をすることで回復力を高めることもできるのです。
時間帯はこのように割当たっています。
24時間、2時間ごとに五臓六腑の各臓器が割当たっているのが分かるかと思います。
経絡の陽気・陰気の時間帯の流れをグラフで表したものがこちらです。
五臓六腑・気・経絡の流れは繋がっています。
時間帯によって養生・ケアを行えば心身の不調を改善することができるのです。
子午流注の活用例
子午流注は身体・脳の修復をする睡眠時間にも深く影響を及ぼしていて、中医診療所時代に師からは「人を治す身として10時前には絶対に床に就くこと」と教えられてきました。
これは10時前に寝ないと睡眠中に内臓の修復がしっかり行えずに免疫力を下げてしまうからです。
特に寒い冬は陰の時間帯(夜)の修復時間が大事だから早く寝なさい、とも言われました。
陽気を大事にしなきゃいけない時期ですものね。陰の時間帯は余計な陽気を消耗しないようにするのが健康の秘訣です。
また、ストレスに強い身体と心を作るには睡眠をしっかりとること、と言われています。
ストレスを溜め易い臓器は肝・胆です。
胆は23時~1時、肝は1時~3時に割当たっています。
この時間帯に深い睡眠をとってしっかりと胆・肝を回復させることがストレスに強い身体を作る秘訣となります。
朝7時~9時は胃、9時~11時は脾が割当たっており消化器の気が活発になる時間帯です。
中国では朝にお粥を食べる習慣があります。
朝7時~9時は胃の気が活発となるので食事が美味しく食べれて消化吸収が良い時間帯です。
そのためか、薬膳粥を食べている中国の家庭が多いのが印象的でした。
ちなみに中国では朝ごはんにお粥を食べる習慣を大事にしていて通勤中もお粥をお店で買って道端で食べている人たちもいました。
栄養が最も吸収される時間帯だから朝ご飯をいっぱい食べて、昼・夜はほどほどに食べる習慣にしている家庭もあって中国は子午流注の養生習慣が根付いているな、と感じていました。
子午流注法の養生について詳しく知りたい方も多いと思いますので、これからちょくちょく書かせていただきたいと思っています。
引用・参考文献:
青島大明 著 「病を治す哲学」
鈴木康玄 著 「東洋医学式 体内時刻を制すれば痛みが消える!不調がなくなる!」