中医診断学を学んで実際に患者さんを診ると症状が、「気虚?陽虚?どっち?」とごっちゃになることがありました。
弁証論治では症状を細かく分析できなくきゃな~と思って今も勉強中です。
今回は気虚と陽虚はどのように違うのか症状から解説していきます。
臨床での症状の見極めにお役立て下さい。
気虚
気虚は中医専門用語です。元気不足が引き起こす病理変化と症状です。
◆元気とは?◆
人体の基本物質であり、
・腎臓の中の精気
・脾胃から吸収された水穀の気
・肺から吸収した精気
この3つから結合してできた気です。
人の生命活動は根本はこの元気が体内を昇降出入りする動きで成り立っています。
気虚は一種の症状で
先天的な気の不足、栄養不良、日常生活での疲労、過労働、年齢による虚弱、慢性病にかかっている、手術後の疲労などが原因として関わっています。
気虚は肺気虚、心気虚、脾気虚、腎気虚症状が含まれます。
気虚により引き起こされる症状
身体虚弱、顔色が蒼白、呼吸が短くて浅い、手足がだるい、眩暈、動くとすぐ汗をかく、声が低くて細い、など。
元気、宗気、衛気の虚、損傷により気の推動性、温煦、防御、固摂と気化機能が減退したものです。
人体機能の活動低下、衰退、免疫力の低下を引き起こしてしまうものです。
陽虚
陽虚は中医専門用語で陽気虚が衰えている病理状態を示します。
陽気は身体・内臓を温める作用があり、陽虚では身体の機能の減退、虚寒症状(身体・内臓が冷える)が出現しやすくなります。
よく見られるのは胃陽虚、脾陽虚、腎陽虚症状です。
陽虚により引き起こされる症状
1,寒さに弱くなり、四肢が冷えてしまう
陽虚の代表的な症状です。自然界に例えるなら太陽の陽気不足で寒冷の状態です。
2,未消化状態で大便が出てしまう
食物の消化は米の炊飯に例えられます。
胃の状態が良ければ火が良好で良い米が炊けますが、火が不足してしまうと米に火が通らないため良いお米を炊くことができません。
そのため陽気不足は胃の中の食物を腐熟・消化させて腸に流す役割が上手く働きません。
3,精神不振
陽気不足により細胞の生命活動が衰退し落ち込みやすくなります。
4,舌が膨らみ、歯根がつく
体内の水分の消耗・代謝は陽気の働きにより推動・蒸散されます。
陽気が少ない・衰えてしてしまうと水分の代謝不良、消耗することができなくなり多くの水分が体内に蓄積されてしまいます。
そのため舌が大きくなり、歯痕が出現してしまうのです。また、同様の原因で四肢の浮腫みも引き起こしてしまいます。
5、脈が沈細
陽気不足は脈管に鼓動を伝える作用も弱いので、脈象が沈細無力であることが特徴です。
気虚・陽虚の見極めのポイント
・気虚症状は顔面蒼白、四肢のだるさが引き起こされやすく身体虚弱症状が特徴。
・陽虚症状は四肢冷感、腰痛、眩暈、耳鳴りが特徴。
どちらも精神不振が出現しやすいので中医治療では脾から補気する治療がされます。