中国に住んでいた時に、京都出身の日本人の友人とお茶の話をよくしました。
美味しい中国茶を現地で買ってお茶会をよくしていたのですが、そこで「中国の緑茶は渋みがない」という話題になりました。
その当時お茶菓子に合う渋い緑茶を中国で探してみましたが、中国のお茶屋さんでは見つからず……。
友人が京都に一時帰国した時に、京都宇治の緑茶を買ってきて「これだね!この渋みがお菓子と合う!」なんて話した思い出があります。
では何故中国茶の緑茶は渋くなくて、日本茶は渋く作られているのか?
今回は我々に馴染みの深い日本茶の緑茶について陰陽五行の背景があるので紹介していきたいと思います。
中国茶の緑茶と日本茶の緑茶
中国茶の緑茶は茶葉が刻まれてなく、葉の状態がそのままです。
淹れると透明な緑色です。味は渋みが無くスッキリした飲みごたえです。
日本の緑茶は茶葉が刻まれていています。
それが渋み、苦味を出していて甘いお茶菓子に合います。
では、何故日本茶の緑茶は渋味、苦味があるのか?
次の章で詳しく解説してみます。
五味と五臓
陰陽五行説は〈木・火・土・金・水〉の5つの要素で物事を捉える考え方です。
味の五味は〈酸・甘・辛、咸、苦〉の5つで五行属性は以下図のような属性に配当されています。
図からお茶の渋み・苦味は火属性であり五臓は心臓が該当しているのが分かります。
歴史ではお茶はもともと中国から伝わったものです。
日本で日常的にお茶を飲むようになったのは江戸時代中期以降と言われています。
この江戸時代の庶民のお茶習慣に影響を及ぼしたのは
「喫茶養生記」を著した鎌倉仏教の臨済宗を開いた「栄西」と言われています。
「喫茶養生記」とは陰陽五行の理論に基づきお茶の薬効について書かれたものです。
日本人は五味 〈酸・甘・辛、咸、苦〉のうち、酸・甘・辛、咸は容易にとれており、酸味を食すことで肝臓が、甘味をとることで脾臓が、辛味をとることで肺が、咸味をとることで腎臓がよく働いてるとしています。ところが、日本人には苦味をとる習慣がないため、苦味によって働きが強くなる心臓も強くならないというのです。そこで栄西は苦味を継続的に取り入れ、心臓を強くするためのお茶(苦味)をすすめ、ひいては陰陽五行のバランスを整えることにしたのです。
稲田義行 著「幸運を招く陰陽五行」 より引用
日本茶の緑茶が刻まれて苦味を出しているのは、食事で補えない「苦」をお茶で取り入れて心臓を強くするために根付いた文化のようです。
つまり、渋い日本茶を習慣的に飲むことで苦味が心臓に働きかけ、五臓のバランスを良くしていたのです。
食事はバランスよく食べることが大事、といいますが日ごろから日本茶を間食・食事に上手く取り入れるのが養生の秘訣となります。
皆さんもお茶を上手く取り入れて身体の陰陽五行バランスを整えてみてはいかがでしょうか。
引用文献: 稲田義行 著「幸運を招く陰陽五行」