今回は秋の養生のポイントについて解説いたします。
秋は気が収斂する時期であり、天地の気が引き締まって澄んでくる時期です。
気温も下がって陰へと向かっていきます。
この時期の養生を黄帝内経からポイントを解説していきたいと思います。
秋季は陰陽五行の金
陰陽五行で言うと秋は金に配当されています。
金は金属、万物を刈り取る刃物の要素を含んでいます。
秋においてこの金の働きは万物が成熟し、実ると生長活動を止める殺気を生じさせる意味があります。
秋分を境に白露が霜となる。この霜が殺伐・殺気の印なのである。
稲田義行「現代に息づく陰陽五行」より引用
白露を境に陰の働きが活発になるのもこの金・殺気の役割です。
では、この陽から陰の転換期はどのように過ごせば養生となるのでしょうか?
秋の養生でポイントとなるのは「容平」「和」
秋は陽から陰の転換期ですので自然環境の変化が人の生理活動に影響されます。
情志、起居、飲食の3つの面から解説していきます。
情志
秋は金であり、属する臓器は肺です。
肺は呼吸を主る、情志は「悲」が配当されています。
そのため肺気虚の方は燥が出てくる秋の天気の変化に敏感になります。
秋雨が多く、草木や万物の働きが段々止まっていくので「悲」の感情が引き起こされやすくなります。
憂鬱な感情を感じやすくなるのもこの時期です。
憂鬱な感情に支配されないために、この時期は心を安定させることがポイントなります。
志を安らかにして、あれもしなければならなかった、これもしなければならなかった、と心の中の欲望を押し込めることはせず、遂げ得なかった志を悔やむことなく、心をゆったりとさせる。精神を落ちつかせて、秋の粛殺の気が身体を損なうことのないようにし、志を遂げようとしてやたらと動きまわり、冷えを受けて肺の臓を冷やすことがないようにしなければならない。
「黄帝内経」より引用
感情に振り回されないでゆったりとした心構えでいることが身体を守る養生となるようです。
起居
立秋以降気温は徐々に下降していきます。昼夜の寒暖差も大きくなっていきます。
冷たい空気を入れないように、特に雨が降った時は防寒対策をしっかりすることがポイントです。
黄帝内経では早寝早起きをすること、と記載されています。
早寝早起きをして秋の朝日の陽気を浴びる、秋の空気を吸って肺を慣らすことが身体を強くするコツです。
飲食
肺気が収斂する影響から気を発散させる辛い物は秋にも不向きです。
また、乾燥してくる時期なので口渇、咳などといった症状も引き起こされやすくなります。
津液の損傷がされ易くので滋陰潤肺のものを摂ると良いです。
また、運動をして身体を強くするのに絶好の時期です。冬に向けて風邪をひきにくい身体を作るのもいいのかもしれません。
以上が黄帝内経から見る秋季の養生のポイントとなります。
情志面の心を安定させるポイントはなかなか難しいですが、李中医師からは養生のポイントは
「心を常に平らにすることだ」
と口酸っぱく言われてきました。
去年、私が新型肺炎が日本で猛威をふるって不安になっている時も「心を平らに。それが病気を寄せ付けないコツ」と教えられました。
今年はびっくりする位気温が下がるのが早いです。
くれぐれも感染症を防ぐ強い身体を作るためにも身体を冷やさないように防寒をして身体の陽気を守っていって下さい。
引用させていただいた文献です。
陰陽五行について詳しく書かれています。