人は常に呼吸をすることで気の交換を行っています。
しかし、忙しい昨今。生活リズムの慌ただしさから、心が乱れ浅い呼吸の現代人が多く見受けられます。
今回は呼吸に置いて深呼吸が大事であり、身体の濁気を出す方法について書きたいと思います。
養生においても呼吸は最も大事です。
気の交換のメカニズム
呼吸は外界と身体の内側の気を交換する働きをしています。
気の交換の役割を主っているのは肺です。
肺の機能を中医学で専門的に見てみると
宣発:肺気が上に昇り、外に発散する作用。吐く。
粛降:肺気が静粛して下降すること。吸う。
という機能があります。
この肺の働きにより我々は濁気を排出、精気を巡らせることで身体の循環させる役割をしています。
ここで重要となってくるのは濁気の排出、つまり
「古く汚れた気を吐き出して、新しい清らかな気を吸い込むこと、新しい気と古い気と交換する」
こととなります。
自然の中にいると心が清らかになるのは精が溢れる自然の気を身体に取り入れて、古い気を排出しているからです。誰かに悩みを話すとスッキリする、といった事も同様のことが起こっています。
師である李医師からは「人は常に気の交換をすることで生きている」と教えられてきました。
最近はコロナウイルスで我々の動きにも制約がかかっていますが、海外の都市ロックダウンによって人との交流を無くした場合、自殺者数・精神病患者が増えてしまった、という報告もあります。
人は一人では生きられないし、自然との交流なしでは正常な生命活動を保てないのかもしれません。
呼吸が浅いことによる影響
患者さん、お客さんとカウンセリングをしていると呼吸が浅い人が多く見受けられます。
体調不良の背景にあるのは、日々の生活で忙しい、ストレスがある、不安・心配事がある、自信がないといったものが根底にあります。
そのような状態はまず呼吸に現れて身体症状をきたす、というのが私の所見です。
なので初めてお会いする方は呼吸の観察をするようにしています。
なぜ呼吸が浅い、回数が多いといけないのかというと…
呼吸が浅い分濁気(古い気)を身体の外に排出しきれていないからです。
濁気を身体に排出するコツは深い呼吸をして丹田(おへその下の部分)まで気を落とすことです。
呼吸が浅いと胸の横隔膜の部分で気が留まり、自覚症状として胸の圧迫感が生じます。
私はカウンセリングの際にはお客さんの悩んでいること、好きなことにスポットを当てて話すようにしています。
ご自分の根底にある問題を話す、自分の好きなことを話すことで徐々にその方の気持ちが活き活きして呼吸が深くなってくるからです。
そうすると身体の下に沈んでいた濁気を外へ排出することができます。
李医師からは「本当にすごい医者は病人と会話(気の交換)をしただけで辛い症状を忘れさせる。その境地を目指しなさい」と言われてきました。
私自身まだまだであります……。