子午流注法

子午流注法 腎臓経 酉の時間帯(17時~19時)の養生

酉の時間帯は17時~19時が該当します。

この時間帯は腎臓経の気が最も旺盛になる時間帯です。

腎臓は五臓の中でも精を蔵している重要な臓器であり、人が生まれ持ってある先天の精、そして食べた物から作られる後天の精が貯蔵されています。

とは生命の基本的な物質であり、生命エネルギーです。

そのため、中医学では腎臓の気が不足してしまうと病気を引き起こしてしまうとも言われています。

前回、解説をしました申の時間帯(15:00~17:00)は膀胱経の気が盛んとなり、排毒・デトックスが活発になる時間帯だと解説をしました。

今回解説をする酉の時間帯は申の時間帯のデトックス後であり、腎の機能である精をどのように蔵すか、守るかいわゆる精のチャージと防御が養生のカギとなります

酉の時間帯は腎臓を養うのに最良の時間帯とも言えますので、この点を踏まえながら解説をしていきます。

酉の時間帯

図の通り酉の時間帯は陰の割合が更に増えてくる時間帯です。

夕方~夜になる時ですね。

太陽も傾いて暗くなりますのでいよいよ陰が深まる時間帯となってきます。

この時間帯に気が旺盛となる腎臓は陰陽の気の本である先天の精を蔵している非常に重要な臓器です。

また、腎臓は身体の中の陰陽バランスを整えることにも働き、身体を維持しています。

酉の時間帯の養生はこのような腎臓の働きを理解した上で過ごすことが非常に重要となります。

では精・根本的な生命エネルギーが貯蔵されている腎について次の章で詳しく解説していきます。

腎臓に蔵されている精とは何か?

中医の専門的な解説となってしまいますが、腎臓に蔵されている精は2種類あります。

先天の精:両親からもらう精。生まれた時から腎臓に貯蔵されており、身体の成長に関与。年月の経過とともに少なくなってゆく。

後天の精:食べた物が脾胃を通して水穀の精微に変化した精。身体を維持するのに関与。脾胃の運化作用(食べた物を身体を巡るエネルギーにする作用)が正常であれば、腎臓に貯蔵される。

この2種類です。

この腎臓に蔵されているが無くなってしまうと人は死を迎えてしまいます。

そのため健康・長寿でいたいのなら腎臓に蔵されている精を守ることは養生の鉄則です。

しかし、守るだけでなく脾胃を強化すること・身体に良いものを食べることも重要です。

食べた物は脾胃で運化というエネルギーに変える作用が働き、後天の精として腎臓に補充されます。

後天の精は身体の健康を維持する、免疫力を高める上で重要な精です。

人の健康には腎臓に蔵されているこれらの守る、そして補充して腎臓にチャージ(貯蔵)することは非常に大事なことなのです。

酉の時間帯の養生

腎臓経は関連する膀胱経と合わせて人体の陰陽エネルギーを調整する経絡と言われています。

体内の水液のバランスを維持する重要な経絡なのです。

前回の申の時間帯である17時前は膀胱経の気が旺盛になる時間帯で排毒・デトックスが1日の中で最も活発となるため、水分を多めに摂ることが大事という解説をさせていただきました。

17時以降の酉の時間帯は前の申の時間帯に膀胱が老廃物を整理し、排出した後の状態となります。

そのため、膀胱内の尿量は減少傾向にあります。

しかし、腎臓内に沈殿している老廃物は排出されていないことが多い傾向にあります。

この沈殿した老廃物を出して膀胱・腎臓双方が更に老廃物の整理ができるように水を1杯飲んで排尿を促すとよいです。

膀胱経の活発となる時間帯と継続して水分を摂取してデトックスを促すことで、膀胱・腎臓をスッキリさせることができます。

酉の時間帯は夕食を食べる生活リズムの方が多いと思います。

養生では、夕食は酉の時間帯の17時~19時に食べて、その後リラックスをするのが良いとされています。

毎日17時~19時は十二時辰・十二経絡の中でも人体の気血が外に向かう時規則があり、1日の中で疲れを感じやすい時間でもあります。

その反面、腎臓の働きが活発となりますので身体の中は重要な働きが起こっています。

この時間帯は一日の内、脾で運化された精(食べた物がエネルギーに変わる)が腎臓で最も吸収される時間帯でもあり、身体の気血を補う・チャージする働きが活発となります。

チャージされて腎臓に蔵される精は明日のエネルギー源となります。

そのため、養生では家に帰ってゆっくり活動をする、リラックスのが理想的です。

酉の時間帯は精を蔵す腎精を守るため、仕事は控えめにして過ごすと良いです。

注意点

腎臓は人体にとって生命エネルギーであるが貯蔵されている非常に重要な臓器です

先天の精・後天の精を蔵す大事な役割があります。

前述の通り酉の時間帯は1日で最も疲労を感じる時間帯であり、腎臓の気を守る・補気するのが養生の鉄則です。

この時間帯に運動をする・活動量を多くしてしまうと体内の陽気をかき乱してしまうため陽気が消耗することにも繋がってしまいます。

次の日に疲れを誘発しやすくなってしまいます。注意してください。

申・酉の時間帯は膀胱・腎臓と合わせて排毒・デトックスが活発となる時間帯、と説明をしましたがこの点で1つ注意点があります。

足の腎臓経絡の気の流れが気滞・冷えなどで阻害されていた場合、気血の流れが塞がれた状態となります。

このような場合、腎臓の水分代謝の調整に支障をきたし、代謝に影響を及ぼします。

特に排毒・デトックスの面では老廃物を体外へ排出できない問題が生じます。

腎臓の経絡は足に分布されており、足を冷やしてしまっていると腎臓経の気血の流れは悪くなってしまいます。

実は女性の方々、結構な割合で下半身が冷えていて水分代謝が悪い方が多いです。

そのため、足に分布されている腎臓経が冷えて気血の流れが悪い方が多く見受けられます。

中国では下半身の冷えには中医経絡施術と合わせて泡脚(足湯)が中医治療では使われてます。

下半身の冷えが気になる方は腎臓経だけでなく全身に影響を及ぼしますので、温めることが大事です。

生活習慣に下半身の防寒・足湯・半身浴など日々の養生に取り入れてみて下さい。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。