未の時間帯は午後の13:00-15:00です。
この時間帯は小腸の気が最も旺盛になる時です。
日中で最も眠気を感じやすい時間帯ですが、小腸の動きが活発になることが養生ではカギとなります。
小腸は食べた物を消化する過程で、清(身体に入れる栄養素)・濁(排出するもの)に分ける働きがあります。
清のものは脾臓に送られ、濁のものは水液は膀胱・カス類は大腸に送られて体外に排出されます。
このような小腸の働きが活発になるので、中医養生では昼食は13時までに摂ることで栄養吸収・代謝が良くなると言われています。
では、この点を理解した上で詳しく解説していきたいと思います。
末の時間帯
末の時間帯は、陰の要素が徐々に増えてくる時間帯です。
13時~15時の午後は日中で眠気が襲ってきて集中力も削がれてしまう時でもあります。
古代の人々の生活では、11時~13時の午の時間帯は休息そして昼食を食べるのが養生習慣でした。
その理由は、今回解説する末の時間帯に小腸の動きが活発になって食べた物の消化吸収が良くなるからです。
中国で出会った高齢の女性経営者はこのリズムを大事にしていて、「夕飯より朝・昼食の方が大事だから朝・昼しっかり食べなさい!」と教えてもらったことがあります。
何でも朝は胃・脾の消化器の動きが活発になり、昼は小腸の動きが活発になって栄養吸収・代謝が良くなるのに対し、夜は朝・昼ほど栄養吸収が良くないからです。
そのため中国の職場では昼食を皆さん栄養のあるものをガッツリ食べていました。
私は中医診療所にいた時に1度昼食にカップラーメンを食べていたらスタッフ皆から非難を浴びたことがありました。
もちろん上記の理由を説明され、職場でカップラーメンは食べれなくなったことがあります…。
小腸の働き
小腸は上は胃、下は大腸と繋がっていて管状になっている器官です。
体内に入った食物の消化・吸収の主要となる所です。
小腸は食べた物を清・濁に分ける働きがあります。
清のものは身体に吸収される栄養素として上にある脾臓へ水穀の精微として送られて吸収をされます。
濁のものは排泄物となるため、水液は膀胱へ送られて尿となり、カス状のものは大腸に送られて大便となり体外へと排出されます。
このように、小腸は栄養素を分類して体内に吸収するもの・体外に排泄するものを分けているので中医ではこのような小腸の働きを「身体の中の栄養士」と表現されています。
小腸のトラブルと末の時間帯の注意点
小腸に問題が起きてしまうと、腹痛・腹張・下痢といった症状が出てしまいます。
お腹が冷えて消化不良に繋がることも多いのでお腹が冷えないようにするのが大事です。
昼食の咀嚼が不十分な場合も腹痛・下痢といったことに繋がりやすいので、小腸の消化吸収を良くするためにも昼食はよく噛んで食べることが大事です。
中医学では末の時間帯は食事を摂らないで、午の時間帯(11:00~13:00)に済ますように言われています。
また、午・末の時間帯には消化吸収に支障をきたすため、飲酒そして脂っこいものを多く食べることは控えた方が良いです。
特に心臓が弱い・心臓疾患を持っている方は、午後のこの時間帯に胸悶(胸苦しさ)、心慌症状が起きやすくなります。
この背景には中医学では小腸と心臓は表裏の関係になっていてお互いを助けある関係になっていることが関わっています。
小腸の働きが活発になることで心臓に影響が出てしまうからです。
また、心臓に熱がある場合も小腸に影響が出ます。
心の熱が小腸に移動し尿量が少なく黄が濃いものが出たり、ひどくなったら血尿などを引き起こすこともあります。
消化不良も引き起こしてしまうため、このような場合中医学では心臓、小腸どちらも治療することがあります。
末の時間帯に小腸を助ける習慣
1,白湯、温かいお茶を飲む
排便を助けるために、この時間帯は水分を摂ることをお勧めします。
コップ1杯は最低限飲むようにして、乾燥を防ぐことで便の形成・排出を助けることが出来ます。
2,お腹を軽くマッサージする
腹部をマッサージすることは胃腸の働きを促進して脾胃の健康を保つ養生方法にもなると言われています。
便秘解消にも良好です。
お腹をさするような感覚でマッサージをしてみて下さい。
あまり圧力をかけないで行うのがコツです。
特に冬はお腹が冷えている方が多いので、手が温かい状態で行うことでお腹を温めることができます。