陰陽五行

陰陽五行説 五行学説と中医学

今回は陰陽五行説の中の五行説について書いていきたいと思います。

中医臨床では体質診断・治療計画を立てる上でベースとなるものだと私は捉えています。

しかし、奥が深すぎる…。

診断学を学ぶ前に師である李医師に部屋に連れていかれ「この空間で五行(木・火・土・金・水)の要素の中で何が足りないが言いなさい」と言われ、考えながら必死に答えた覚えがあります。

「これが中医において人を診るベースになる」と言われたので常に五行説の基礎を振り返りながら中医と関わるようにしたいな、と思っています。しかし、まだまだ…。

では、私の分かる範囲ではありますが解説していきます。

1、五行の概念

五行学説では宇宙間のすべての事物はすべて〈木・火・土・金・水〉の5種類の物質の運動と変化によって生成されているとされています。五行学説は〈木、火、土、金、水〉五元素の概念・特性・相生相克の規律を研究し、宇宙万物の発生・発展・変化及び相互関係を詳しく述べる古代哲学思想の一種です。

五行系統とは木、火、土、金、水五元素の運動変化です。

2,五行の特性

五行の特性は古人が〈木、火、土、金、水〉五元素を直接観察認識の上に抽象的に形成された理論です。各種事物の五行属性を分ける基本根拠になっています。五行の性質と特徴は以下のようになります。

木(曲直、条達)樹木が成長することで伸展、上昇などの意味を表す。

火(炎上)火が燃えることで、温熱上昇などの意味を表す。

土(稼穡)播種、収穫など農産物と関連して万物を生化させる。

金(従革)変革を表し、清潔、下ろす、収斂の意味をもつ。

水(潤下):水のように、下ろしたり、潤したりといった意味を表す。

それぞれの事・物は性質・特徴から五行分類 〈木、火、土、金、水〉 に配当されています。

            五行分類

五行学説が中医学に応用するためには五行と臓器を関連させる必要がありました。

そこで、まず体腔の五臓(肝、心、脾、肺、腎)が、それぞれの特性に合わせて〈木、火、土、金、水〉に割り当てられ、更に六腑など関連する器官や機能とも結び付けられました。

3、五行相生

五行相生とは五元素がお互いに関係し、お互いに生み合い助け合う相生関係です。

    相生順序:木→火→土→金→水→木   

この相生順序は無限に循環します。

では、この相生の循環は具体的に人体で何が起こっているのでしょうか?

黄帝内経の臓象学よりの相生関係の具体例が載っていたので記載いたします。

金生水:金=肺、水=腎

肺には気が有る、腎には精がある、気は精を生む。新陳代謝を良好にする。

水生木:水=腎、木=肝

肝は血液を老廃物、尿酸などから綺麗にする。腎にて排出される。

木生火: 木=肝 、火=心

肝は血液を綺麗にする工場である。

火生土: 火=心 、土=脾

全身への血液循環、脾臓の働き・交流助ける。

土生金:土=脾、金=肺

脾の消化食物、酸素の運搬を助ける。

黄生内経より引用

4,五行相克

五行相克とは〈木、火、土、金、水〉の五元素が逆にお互いに押さえつけ牽制し合う関係です。

相克順序木→土→水→火→金→木

この相克順序も無限に循環します。

では、この相生の循環も具体的に人体で何が起こっているのでしょうか?

黄帝内経の臓象学よりの相克関係の具体例が載っていたので記載いたします。

金克木:金=肺、木=肝

気の充足、肝の機能が旺盛な時に抑える。

木克土:木=肝、土=脾

血液を新鮮にする、脾の機能が不良な時に抑える。

土克水:土=脾、水=腎

内分泌を健全にする、腎機能が不良な時に抑える。

水克火:水=腎、火=心

排泄を正常にする、血液循環が不良な時に抑える。

火克金:火=心、金=肺

血液を健康にする、呼吸機能が不良の時に抑える。

黄帝内経より引用

人体の中で五行属性の臓器がどのように循環しているかイメージがつきましたでしょうか?

このような五行の動きによって我々の身体は循環しています。

これが1つでも崩れてしまうと体調不良を起こしてしまうし、逆に循環が上手く回っていれば邪を寄せ付けない最強の身体・心となるわけです。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。