陰陽五行は時間の属性にも当てはめることができます。
時間とは、1日の流れ、そして1年の四季の流れです。
1日・1年の四季というものは複雑で陰陽でもまた更に陰陽に細分化されるため、道教の表現では陰・陽の記号を利用して表現をされます。
今回ご紹介するのは陰陽の1日の時間の流れを昼・夜で分析したものです。
中国の腕の良い中医師はこの流れを理解することで、病気の予測もできるといいます。
“昼は陽”、“夜は陰”と言うように大まかに分けられます。
陰陽説だとこのように陰陽の2つに分けられます。
しかし、この陰陽はお互い混ざり合って世界を形成していると言われています。
時間の概念も陰陽が混ざり合う過程に細かい属性が存在しています。
それは、昼の陽に属する時間帯でも“陽の中の陽”、“陽の中の陰”といったように1日の時間に置いてこのように表現されます。
では、今回は1日の時間の陰陽属性にスポットを当てて解説をしていきます。
1日の昼と夜
1日の昼と夜を陰陽に分けるとしたら、
- 昼は陽
- 夜は陰
に分けられます。
昼を更に分けると午前・午後に分けられますね。
夜も同様に分けることができます。
夜は昼のように表現する言葉がありませんが、中医学の教科書ではこのように分けられています。
日が落ちて夜が更けるまでを前半、夜が更けた所から明け方を後半と表現しています。
では、昼・夜を更に2つに分けた状態で陰陽の属性を見ていきましょう。
昼 午前・午後
昼を午前午後を陰陽の分類に分けますと、
- 午前は陽の中の陽
- 午後は陽の中の陰
に分類されます。
下記の太極図の通り、午前・午後の陰陽配分はこのようになっています。
午前は自然界の陽気が発生してすこしずつ多くなる時間帯であるため、陽気の動きが活発となってきます。
そのため、午前は陽に属することとなり“陽の中の陽”に分類されます。
午後は自然界の陽気が段々と少なくなり、陰気が徐々に増えて多くなって陰気の動きが活発となってきます。
そのため、午後は陰寄りに傾いていくため“陽の中の陰”に分類されます。
夜 前半・後半
夜は前半・後半と分けた上で陰陽の属性は、
- 夜前半の夕方~夜までの時間帯は“陰中の陰”
- 夜後半の夜~明け方までの時間帯は“陰中の陽”
に分類されます。
夜前半は夕方~夜が更けるまでです。
日が落ちて夜となるため、太極図を見ても分かる通り、陰が増えて極まる状態となります。
そのため夜前半は“陰中の陰”に分類されます。
夜後半は夜中~朝方となります。
明け方が近くなるにつれて日がでてくるため、陰が極まった状態から陽が発生して朝に向かいます。
そのため夜後半は“陰中の陰”に分類されます。
まとめ
今回紹介した1日の時間の属性は中国の中医学基礎の教科書を参考に書かせていただきました。
この1日の陰陽属性は、子午流注法の養生にも活用されているものです。
子午流注法の記事でも紹介いたしましたが、中国の中医師は人の体質を見極めた上で時間帯の養生まで患者に指導することがあります。
また、経絡・鍼灸治療では子午流注法に基づいて、特定の経絡の気が活発になる時間帯を見計らって経絡・鍼灸治療を施すこともあります。
例えば、心経が気虚となっていたら心経の気が活発となる11時~13時の時間帯の前に補気する・治療をする、といったことが行われていました。
気功の分野では、このような1日の気の流れの陰陽属性の背景があることを活用して子午流注法の時間帯に合わせた治療がなされているようです。
中国で私が見てきた中医の医療場面でも実際に1日の時間の陰陽属性に基づいた養生の指導、中医治療にあたっている中医師の先生方もいたので今回1日の時間の陰陽属性を解説させていただきました。
当研究会の子午流注法の記事も合わせて読んでいただくと、養生に繋がってくるかと思います。
それぞれの時間帯の陰陽の状態も解説してありますので、是非ご参考下さい。
子午流注法|宏福中医研究会 (koufuku-chui.com)
参考文献:严灿 著 「明明白白 学中医① 医道医理篇」