中国の茶療では秋後半~冬の寒い時期には紅茶を飲むことが勧められます。
紅茶は温熱性で身体を温める作用・養胃作用があり消化器の状態が良くない時に良く効きます。
前回書いた記事に中医学でみた紅茶の効能についてはこちらをご参照下さい。
今回は更に掘りこんだ中医学的に見た紅茶の話です。
中国の茶療の流派のお話で更に胃の状態を分析し、紅茶の養胃効能を高める方法を書いていきます。
また、効能を高める老紅茶の作り方もご紹介します。
養胃作用と発酵
紅茶の紅色は養胃効果とされていて、胃腸の状態が良くない人は紅茶が良いとされています。
しかし、紅茶を細かい点で分析していくと全てが養胃作用に働いてくれるかは差があります。
ここでキーワードとなるのは紅茶の発酵です。
紅茶は作られる工程においては発酵がとても重要となります。
中医茶療ではこの発酵こそしっかりしていないと身体に効くお茶にはならない、とまで言われています。
では、胃熱・胃寒の時に「胃の状態がなんか悪い…」といった時、発酵が不十分な紅茶を飲んだ時にどのようなことが起こるのか見ていきます。
用語解説になりますが、
胃熱は胃に熱があるような違和感、胸やけ、食欲の亢進、口の渇き、吐き気などが特徴です。
胃寒は冷えているようなしくしくした胃痛、吐き気、透明な涎のような吐瀉、などが特徴です。
胃寒・胃熱の時に発酵が十分されてない紅茶を飲むと逆効果
・胃熱:熱性胃の時に発酵が十分にされていないお茶を飲むと胃が気消耗してしまう。
発酵が十分にされていないお茶は青気(青臭い感じ方をするもの)が含まれていて、これが胃を傷つけてしまうことがあります。
この青気は香りが豊かなのですがアルカリ性物質が多く含んでいます。(ちなみにアルカリ性のものは弱アルカリ性だと健康に良いとされていますが、濃度が高いと身体に負担がかかってしまいます。)
そのため、作った茶葉をパックしたての紅茶は香り豊かですが、その分青気が多いということです。
この新しく作られた紅茶は青気により熱性の毒をもっていて内熱・胃熱の促進、上火(熱が頭に上がった状態。のぼせ)状態を作りやすくしてしまいます。
つまり、胃に熱があった場合発酵が十分でない紅茶を飲むと青気に含まれる熱性の毒により胃を更に傷つけてしまうことがあるのです。
発酵がしっかりされている方はポリフェノール物質が多く青気が少なく胃腸を傷つけることがありません。
・胃寒 寒性胃の時に濃くて苦い紅茶を飲むと熱毒が胃を傷めてしまう。
これも紅茶の発酵が不十分なことが原因で引き起こされます。
濃いお茶を入れた場合に青気に含まれる熱毒が冷えた胃に更にダメージを与えてしまうために起こる現象です。
また、茶療では濃度が濃いお茶は身体の津液も傷めてしまうとされています。
このように紅茶には発酵が非常に大事な工程です。
中国の中医師に茶療のお話をしてもらった時も「発酵が十分にされたものを飲むこと」と養生指導で毎回言われていた程です。
養胃に効く老紅茶
胃の養生効く紅茶は発酵が十分にされたものになります。
とは言っても日本には中国のお茶屋さんのように期間をおいて熟成・発酵されたお茶は売っていません。
そこで自分で簡単に作れる発酵が十分にされた老紅茶の作り方をお伝えします。
それは…
買ってきた紅茶を常温で半年以上置いておく、
これだけで出来ます。
買った袋のまま、器に移して蓋をしてもOKです。
特に成分も変わらず時間を置くことで発酵され、青気・熱毒を消してくれます。
そうすると十分に発酵されて養胃効果のある老紅茶ができます。
この老紅茶は茶療では温潤効果をもたらす最養胃茶と呼ばれます。
また、中国の茶療師は今年買ったお茶を来年に飲むのが良い、とも言っています。
私も最近この方法を知ったので半年~1年かけて熟成された老紅茶を来年飲むのを楽しみにしています。
今回は胃の状態が悪かった場合に紅茶を飲むとどうなるかといったことから発酵の重要性、紅茶について語りましたが、私たちが飲んでいる紅茶は普段健康な時に飲む分には身体に温熱効果と潤いをもたらせてくれます。
今回は悪魔で胃熱・胃寒の時にはどうなるか傾向を書いたものですので参考にしていただければと思います。