中医解説

正虚邪恋について

正虚邪恋とは中医の病証名です。通常人体の抵抗力が良好であると病気にはなりにくいです。

しかし、この身体を守る抵抗力・免疫系が弱くなってしまった場合、身体は病気の原因となる邪にとって居心地の良い場所となってしまいます。

このことについて今回は書いていきます。

ここでちょっと東洋医学の専門用語解説です。

正気:生命力。自然治癒力に働く気のことで邪気から身体を守る気。

邪気:病因となる気。身体の外側から侵入したり、人の内因(七情 怒・喜・憂・思・悲・恐・驚)から発生するもの。

この2つの用語で説明していきます。

正虚邪恋に身体がなってしまうと?

身体を守る正気が虚の状態となってしまうと身体の抵抗力が低下し、病気の邪が侵入しやすい、または内側からマイナス感情として発生しやすい状態となってしまいます。

正虚邪恋の具体的な症状は正気がであるため、

痰飲、水湿、瘀血、余熱といった症状が出て病邪が身体に停滞した状態となります。

このような症状は気、血が停留しており、正虚により排出させる力も弱いために引き起こされます。

元気の力が弱くて排出させることが困難なので、病邪が身体の外に出ない、経絡系の停滞も引き起こしてしまいます。

例えば慢性病や病が治らない事態が続いてしまうと正気が損なわれてしまうので、正虚になりやすく病邪が入りやすくなってしまう、心の内側でネガティブ感情作られやすくなってしまい身体のなかに留まりやすくなってしまいます。

では、治療法は?となると東洋医学では扶正祛邪(ふせいきょじゃ)という治療方針がとられます。

この方法は正気を補う( 扶正 )、邪を外に排出する( 祛邪 )、という方針の治療法です。

日常生活にも潜んでいる正虚邪恋

身体が正虚邪恋となるとどうなるか東洋医学で解説してきましたが、日常生活において正虚邪恋状態に近い経験は私達はしているのではないかと思います。

例えばストレスにさらされる、他人の言動や行動に傷ついたり、ショックな出来事があったりすると心は虚の状態となり何もやる気が起きない無気力の状態となってしまいます。

こういう時は弱気になってしまい、自信も失ってしまいますよね。自分なんてダメだ…という感情もでてきたりして。

生きているとこのような出来事はぶつかりますが、このように心が虚になった時は感情はネガティブループで行動をするにも活力が沸いてきません。

この時の一番の対応策は、

無理をせず、自分を一番に考えて

騒がずに休むこと、時間をかけて物事を整理することが大事だったりします。

皆さんも覚えがあると思いますが、ショックを受けた言動・状況を何度も思い出してしまったり、ネガティブな感情が頭の中に押し寄せてきたり苦しみのループが続いてしまいます。

これが邪が停滞しているのと同じ状況です。

この時に何か行動すると冷静さを保てずに判断を誤ったり、上手くいかずがんじがらめになることがありますよね。

この時の対応として東洋医学の治療方針である扶正祛邪を意識してみて下さい。

まず、心を落ち着けて補気するように自分の好きなことをして心を満たす ( 扶正 )心を整理して余計なネガティブな感情が産出されないようにする ( 祛邪 )

この対処を行ってゆっくり心を回復させて、病の元となる邪の好む状況から抜け出せるようにしてみて下さい。

もちろん、1人では困難な場合もあるかと思います。

その時はカウンセリングや経絡ケアを通して身体を回復させるお手伝いをいたします。

身体を強くしてしまえば解決する活力も出てきますので、その時はお力になれるケアを提供させて下さい。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。