雨が多くなり、湿気が多くてジメジメとした季節となりました。
この時期は湿気が身体の中に溜まってしまうため、何かしら身体に困ったことが起こる時期です。
倦怠感が出たり、頭・身体そして気分が重くなったり…といったことを感じている方も多いと思います。
梅雨時期は中医学では“長夏”という季節に位置づけられ、五行では“土”、湿気が多くなり脾臓が痛みやすいのが特徴となります。
湿気が身体の何らかの体調不良を引き起こしている場合の湿気は“湿邪”と呼ばれます。
湿邪は季節はジメジメとして非常に不快な時期ですよね。
カラッとした晴れ間が恋しい時期でもあります。
そんな湿気には特徴が3つあります。
- 1,湿気は陰邪であり、陽気を抑える、気の流れを滞らせ、脾胃の気の流れに滞りを引き起こす。
- 2,湿気は重い・濁なるものであり、頭・身体の内側から重くなるのを感じる、四肢を動かすと重く感じる。
- 3,湿気は粘性であり気を滞らせるものであるため、湿気が引き起こす病は病後も身体の中に留まることが多く、経過が長くかかることがある。
特に3の湿気の粘性については非常に厄介で、体内に湿邪が留まってしまうと気の流れが滞ってしまうため、気だけでなく血行不良も引き起こしてしまいます。
湿気は陰であり水属性
湿気は陰であり、水属性です。
自然界で水は低い所に流れていく特徴があります。
そのため、湿邪の代表的な特徴として水特有の“重い”という点が挙げられます。
水属性で陰・水特有の重いという特徴から、人体においては腰から下は陰属性にあたり、湿邪によって引き起こされた病の多くは人体の下部にて症状として現れます。
具体的な症状として女性のおりもの過多の他、下痢、浮腫みといったものが現れます。
また、雨で湿気が多い日が続いて、身体に湿気が溜まってしまうと気の交換がしにくい状態となってしまいます。
この状態は“濁”といって分泌物や排泄物を充分に外に出せない老廃物が溜まってしまった状態を作ってしまいます。
厄介な湿気の粘滞性
中医学では湿気が身体に入ると厄介なものとされています。
中医の臨床では「身体の中に入った寒邪は除くのが容易であるが、湿気は取り除くのが難しい」と言われています。
それは何といっても湿気は粘滞性であり、前述の通り身体に留まると湿邪は長く身体に居座ってしまうことが特徴です。
更に厄介なのは他の邪とくっついてしまっている時です。
- 寒邪とくっついて寒湿邪。
- 熱邪とくっついて熱湿邪。
- 風邪とくっついて風湿邪。
- 暑邪とくっついて暑湿邪。
といった種類が挙げられます。
一度湿邪とくっついてしまえば湿から離れさせるのは難しいと言われています。
また、これらの湿邪は共通して血流不良をとなってしまうため、瘀血を引き起こすのが特徴です。
湿邪が身体に停滞した時の症状
上焦・中焦・下焦にそれぞれ湿邪が停滞すると以下のような症状が特徴として現れます。
- 上焦:胸悶(胸が詰まったようで、脹ってスッキリしない、不快な感覚)、咳など。
- 中焦:脾胃の気機を滞らせるため、腹部膨満感、下痢など。
- 下焦:下腹部が張る、大便時に下腹部に痛みを感じるなど。
また、このような症状だけでなく関節や経絡にも気の流れを滞らせ、四肢倦怠感・重い感じがするのが特徴です。
湿気とは非常に厄介なものであることが、ご理解いただけるかと思います。
中国の養生習慣では湿気を身体の中に溜めないように、如何にして身体の中から湿気を出すか、が重要となってきます。
参考文献:
《图解经典》编辑部 编著 「图解 黄帝内经 中国养生第一书」
严灿 著 「明明白白 学中医① 医道医理篇」