子午流注法

子午流注法 胃経 辰の時間帯(7時~9時)の養生

辰の時間帯は朝の7時~9時で、胃経の気が最も盛んとなる時です。

この時間帯は胃の気の働きが高まることにより、1日で最も食物の消化が良い時です。

食べた物の消化が良いので中国では薬膳粥など栄養のある朝食をしっかり食べることを習慣にしています。

7時~9時の時間帯に朝食を食べることを習慣にすると胃の活動が強くなることにより、1日の活動前にエネルギー循環のリズムを作ることが出来ます。

ここで言う循環のリズムとは、胃で食物を充分に消化した後脾の運化作用(飲食物から得た栄養物質を気・血・水に作り変える作用)により身体が動くためのエネルギーを全身に循環させることができることです。

ちなみに辰の時間帯7~9時の胃の気が活発になった後、巳の時間帯9時~11時は脾の気が活発となる流れになります。

そのため、朝食を摂ることで胃と脾が働いて、食物の精を全身に運ぶことができるのです。

このような点を踏まえて、今回は辰の時間帯7時~9時の養生を解説していきます。

辰の時間帯

太陽が地上に出ると天地の気は陽に動き出します。

人も自然界と同様、太陽が昇るとともに起きて活動するリズムで生活をしています。

1日の時間の中で辰の時間帯は太陽の光を浴びて、朝の新鮮な気を吸い込むのに適している時間帯とも言えます。

図で見ると分かる通り、辰の時間帯は陽の占める割合が多いです。

自然界の陽気を多く身体に取り入れるられること、そして食事で食物の精を身体に取り込むのに最も適した時間帯になっています。

辰の時間帯は朝食をしっかり摂るのに適した時間

辰の時間帯7時~9時は朝食を食べるのに適した時間です。

前述の通り、胃の経絡の気が活発となるので、胃の働きが1日で最も盛んになります。

この時間に食べたものは胃で消化されて、脾の働きに繋げることができます。

脾・胃の働きを詳しく説明しますと、胃で消化した後脾の運化作用が働いてくれることで朝に食べた物が生命活動を維持するエネルギー・精血に変換することができます。

これは1日のエネルギー源を作る点、身体の健康を保つのに非常に重要なことです。

しかし、この時間の朝食には注意点があります。

これまでの解説を聞いて、

辰の時間は胃の消化が活発となってエネルギーに変換できる時間帯なので栄養のある物をたくさん摂ればいいのでは?

と思った方もいるかもしれません。

しかし、中医では辰の時間の朝食は豪華な食事をとることは推奨していません。

中医では朝食にしっかり栄養が取れて消化吸収の良い薬膳粥を食べるのを勧めています。

また、朝食を食べなかった場合は胃経が活発になる時に空の状態で胃が働いてしまいます。

朝食を食べることを習慣にしていない方は胃が空でも特に体調に支障はないです。

しかし、朝食を食べる習慣がある方で、突然朝食を抜くと日中に無気力眩暈を感じた体験はありませんか?

これは脾胃が空の状態胃の気が活発となって働くことになるので、身体に負担がかかっている状態です。

そのため、眩暈無気力といった感覚が生じてしまいます。

また、空の状態で胃の活動が開始されたら、胃に何も無い状態で胃酸を分泌することになるので胃はダメージを追ってしまいます。

胃の病気の原因にもになりやすくなってしまうため、朝の辰の時間帯は何か口に入れて胃を働かせるようにすると良いです。

ダイエット時の注意点

ダイエットをしている人のほとんどは食べたら太るという理由で朝食を食べない方もいるかと思います。

前述の通り、辰の時間帯は胃の働きが高まるので消化能力が最も強い時です。

その流れで次の巳の時間帯(9時~11時)は脾の運化能力も強くなる流れとなります。

この消化の流れにより、中医では朝に食べた物はしっかり消化されて身体を巡ってくれるので太る要因にはなりにくい、と言われています。

また、短期間でダイエットをしようとすると朝食を食べないようにする人が多いですが、その方法は中医養生では推奨していません。

前述の通り朝食を食べないと胃はダメージを受け、胃酸の分泌により胃痛が起こす要因となるからです。

それに日中の動くエネルギーも供給できない為、眩暈、無力、心慌といった症状が現れ、時間が経つにつれて低血糖となってしまいます。

日中に頭も働きにくくなってしまう為、朝食を抜くダイエットは胃の調子を崩さない為にも避けた方が良いです。

中医養生のダイエットでは消化が良くて、主食の摂取量を少なめにした朝食を勧めています。

ストレスと胃

ストレス、圧力がかかると胃に症状が出てしまいます。

胃の病気もストレスが原因であることがほとんどです。

ストレスがかかった状態だと、胃が胃酸を過剰分泌してしまう傾向があります。

そのため、ストレスがかかっていると感じている時は朝に消化の良いものを少しでも口にすると良いです。

特に辰の時間帯7時~9時に胃を空状態にしてしまうと胃酸が過剰に分泌されてしまいがちです。

ストレスを抱えているなら、更に胃酸により胃を傷つけてしまいます。

これは胃痛に発展してしまう上、疲労・倦怠感・集中ができない、といった症状も出てしまいます。

無理に朝食を食べて、とは言いませんが、胃酸から胃を保護するためにも学習・仕事に影響しない程度にお粥など消化の良いものを食べることをお勧めします。

朝ごはんに生姜をとると良い

古代養生では朝ごはんに生姜を食べると良い、と言われています。

朝は太陽が出るとともに身体の陽気も徐々に出てくる時です。

この時間に生姜を食べると、健脾温胃の作用により胃を温めてくれて消化器の健康を保ってくれます。

そのため、朝食に食べた物の消化吸収を良にしてくれます。

私が中国広州で食べた薬膳粥はダシがしっかり効いたお粥に生姜が入れられていていました。

ダシが効いた優しい味で、たまにその味が懐かしくなります。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。