子午流注法

子午流注法 膀胱経 申の時間帯(15時~17時)の養生

申の時間帯は15:00-17:00です。

この時間帯は膀胱経の気が最も旺盛となる時です。

膀胱は身体の水液・津液を貯蔵する器官です。

身体の中を循環して余った水液を体外に排出するのが役割です。

そのため、申の時間帯は膀胱の働きが活発となり、尿となる水液の貯蔵・排泄する働きが高まります。

この時間は尿で身体の中の水分が体外へ出ていくこととなるので、養生面では水分を多めに摂ることを習慣にすると良いとされています。

また、膀胱経は頭~背中・足までも通る比較的長い経絡です。

膀胱経に異常をきたすと気血の流れが広範囲に影響を受けるため、頭痛をはじめ腰痛・背痛といった整形外科疾患の原因にも関わってきます。

この点も踏まえて申の時間帯に何が起こっているか、養生方法などを見ていきましょう。

申の時間帯

図で見ても分かる通り、申の時間帯は陰が徐々に増えてきている時間帯です。

冬は太陽が西に傾き、夕方にかかる時でもあります。

膀胱経が活発となる時間帯のため、膀胱経絡の影響を多く受ける時でもあります。

経絡・ツボを勉強されている方はご存じかと思いますが、膀胱経は頭~背中・足まで続く長い経絡です。

膀胱経の走行に異常が無ければ気血の流れも良いので、大脳の働きも活発になり記憶力が上がる時とも言われています。

身体の働きでは膀胱経の気が活発となるため、膀胱機能の尿の生成・排泄する働きが高まります。

尿で体外に水分が出てしまう分、水分を多めに補給をすると良いです。

また、尿意があっても我慢をしてしまうのは禁物です。

これについては次の章で膀胱の機能と働きから詳しく説明していきたいと思います。

膀胱と排尿機能と養生

膀胱は余分な水分を体外に排出する器官です。

中医学では人体の中で排毒・デトックスをする重要な器官だと言われています。

膀胱は腎臓のコントロールを受けており、排尿にはが気を固める固摂作用が働いています。

この気を固めて尿となるのを“気化”と言いますが、この気化作用が膀胱の養生を語る上で重要となります。

もし尿の気化である腎気の固める機能が上手くいかなかった場合、頻尿・尿が近くなる・失禁といった症状が引き起こされてしまいます。

そのため、中医学では膀胱の病変は腎臓が関連していると言われています。

では、この腎臓ー膀胱のコントロールに異常をきたさないために、どのような養生が必要かと言うと

“尿を我慢しないこと”

です。

特に申の時間帯は前述の通り膀胱の働きが活発になり、余分な水分を体外に排出する動きが活発になります。

この時間帯に膀胱で尿は積極的に作られて排泄するように身体は動いていますので、大事なのは我慢をしないことなのです。

多くの人が仕事時間や学校時間の縛りで尿意を我慢する場面が多々あると思います。

申の時間帯だけでなく、尿意があっても我慢することを習慣にしてしまうと膀胱の尿出口のコントロールに支障をきたしてしまいます。

中医学では、この習慣が長期間続いてしまうと腎臓の病変に繋がってしまうと言われています。

具体的には、尿に含まれている有毒物質が我慢することにより体外に排出できないでいるため膀胱癌に繋がってしまう可能性があるのです。

中国中医では尿意を我慢する習慣にある人は普通の人よりも膀胱癌になる確率が3~5倍と報告されています。

そのため、尿意があったらトイレへ行く習慣をつけることが健康そして排毒・デトックスに繋がる養生習慣となります。

とてもシンプルで大事な習慣ですね。

膀胱経の身体への影響

前述の通り膀胱経は頭~足まで続く長い経絡です。

膀胱経

膀胱経は背中に五臓六腑と直接繋がる重要な経穴(ツボ)が多くあるため、中医施術では膀胱経から身体の治療をしていく流派が多くあります。

私が中国で習ってきた技術も膀胱経から身体全体の調整をしていく流派でした。

膀胱経の気血の流れを整えることは非常に重要で、流れが整っていると気血が走行している脳にも良い影響を及ぼし、比較的全身状態も良好です。

脳への良い機能とは、記憶力・学習能力も上がり脳の機能を発揮することができるのです。

しかし、膀胱経の気血に気滞・気逆など流れに支障が出てしまうと頭痛や健忘はじめ頸痛・背痛・腰痛といった整形外科疾患にも繋がってしまいます。

また、膀胱に熱が溜まっていた場合は全身浮腫・発熱・坐骨神経痛といったものにも繋がってしまいます。

私のいた中医診療所では膀胱経の滞りは全身に影響を及ぼしてしまうため、内科疾患・整形外科疾患でも中医施術では膀胱経の状態を整えることが先ず求められてきました。

それほど健康には重要な経絡ですので、それに繋がっている膀胱を養生することは非常に重要なことです。

今回紹介した申の時間帯の養生も、

  • 排尿を我慢しない
  • 水分を多めに飲む

とったシンプルな習慣です。

水分は体温より高い温度のものを飲んで下さいね!

しかし、このような習慣をつけても頭痛・腰痛といったものは突然襲ってくる時があります。

お困りであれば中医経絡整体で頭痛・頸部痛・腰痛といった悩みは解決できます。

また、記憶力・集中力を上げたい、ここぞという時に頭脳を明晰にしたい、というお悩みにも膀胱経を通した施術で解決できることもありますので、その際はぜひ当研究会の中医経絡整体をご利用下さい。


ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。