子午流注法

子午流注法 三焦経 亥の時間帯(21時~23時)の養生

亥の時間帯は21時~23時の時間帯が該当します。

この時間帯は三焦経の気が最も旺盛になる時間帯です。

三焦とは、聞きなれない方が多いかと思いますが五臓六腑の六腑に分類されます。

六腑には胆・胃・小腸・大腸・膀胱がありますが、三焦はその中でも最大の腑に当たります。

三焦は上焦・中焦・下焦に分かれており、原気(生命活動をする気)と水液を巡る通路です。

三焦は広範囲にも及ぶ器官なので水液代謝を維持する器官とも言われています。

このように三焦は身体の代謝に重要な役割を担っています。

この三焦の気が活発となる時間帯に必要な養生は、“睡眠の準備に入ること”です。

リラックス・気持ちを楽にすることによって新たな循環が作られて明日向かうエネルギーを作ることができます。

では、このようなポイントを押さえた上で亥の時間帯の養生を解説していきます。

亥の時間帯

亥の時間帯は下図の通り、陰が極まる前の段階です。

陰が極まり陽が発生してくる、陰陽の気が混沌状態に入る前とも表現されています。

「午の時間帯の養生」の記事でも紹介しましたが、陰陽の気が混沌となる時は身体が不安定になりやすい時ですので、激しい・刺激のある事は行わずにリラックス・休むことが原則となります。

この混沌の時の養生というのは非常に大事で、身体と心を休めるか・休めないかによって次の日のコンディションに関わってくるのです。

三焦について

三焦は冒頭でお伝えした通り六腑の1つで六腑の中でも最大の器官となります。

中医理論では三焦は上焦・中焦・下焦の3つに分かれています。

  • 上焦は心臓・肺を包括
  • 中焦は脾・胃・肝・胆を包括
  • 下焦は腎臓・大腸・小腸・膀胱を包括
出典:華夏文化大観

三焦はこの3つの総称であり、生命エネルギーの気である原気水液の通り道です。

いわば三焦は先天の精、後天の精である水穀の精微が気・血・水運行を通して通る道でもあります。

ちなみに中国の中医の臨床ではこの三焦の通り道に邪が潜んでいて、長期に渡って三焦の循環不良により体調不良を起こしている患者さんもいらっしゃいました。

医療現場で中医師が三焦の瀉・補の治療法をとる治療場面も多々見てきました。

このように、循環において重要な役割が三焦にはあります。

亥の時間帯の養生

亥の時間帯は三焦の働きが活発になるため、三焦を通る気・血・水の循環を良くすることができる時です。

美容に良い効果をもたらすとも言われていて、余分なものを体外から排出するデトックスにも働いてくれます。

では、亥の時間帯で美容・養生に重要なってくるのは何かというと、“睡眠に入る準備をすること”です。

美容には睡眠は不可欠と言われていますが、11時前に睡眠に入ることが養生・美容の両面でも大事となってきます。

中医養生ではそれが自然の規則であり、リズムと言われているぐらいです。

デトックスの面では寝る前のストレッチをする、柔軟をすることで循環を良くすることで排毒を促進することができます。

ストレッチ・柔軟は現代人が固まりがちな首・腰を中心に伸ばしていくと三焦の気・血・水も運行もスムーズになっていきます。

腰を伸ばす、首を回す、腕を上げて胸郭を広げる等して気・血・水の流れがスムーズになるように行ってみて下さい。

美容・養生どちらの面からも質の高い睡眠をとる準備を意識することが大事です。

そのため、中国の美容専門の養生では9時以降はテレビ・スマホは見ないでストレッチ、心を楽に楽しくするように静かな音楽を聴いて過ごすと良いと書かれてあります。

養生の注意点

亥の時間帯の養生の注意点として、怒ったり、喜んだり、悲しんだりといった情志・心を波立たせるような感情は23時までに安定させると良いです。

三焦は前述の通り気・血・水を広範囲に渡って循環を良くしてくれる役割があります。

三焦の動きが活発となる亥の時に感情の波が収まらないと次の日にも引きずってしまいます。

また、亥の時間帯は陰が極まり、陰陽の気が混沌となる前です。

養生原則として、陰陽の気が混沌となる前はリラックスして過ごすことが原則となります。

心を安定させて身体がリラックスすることで、陰極まった状態から陽の発生がスムーズとなります。

この流れが感情の波などで乱れて上手く作れないと、次の日に疲れを持ち越してしまうことにも繋がってしまいます。

睡眠はとれても、次の日に精神衰弱してしまうことは避けたいですよね。

そのため、亥の時間帯は心を安定させる・リラックスして睡眠準備をすることを意識してみて下さい。

赤ちゃん待ちの方は亥の時間帯に……

妊娠したい、と考えている夫婦は亥の時間帯に性交をするのが中医養生では推奨しています。

これには陰陽の気の流れが関わっています。

何度もお伝えしている通り、亥の時間帯は陰が極まり、陽が発生してくる混沌となる時の前と言われています。

これは陰陽説となりますが、亥の時間帯のように陰陽の気の流れが混沌となる開始時期は生命の誕生を予期する時と背景づけられています。

中医学の根底にある道教思想では「混沌な時に万物は誕生している」と言われているぐらいです。

そのため、亥の時間帯は夫婦が性交をするのに最も適した時間です。

また、行為には大くの体力・エネルギーも使う為、行為後はすぐに入眠するように環境を整えて下さい。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。