子午流注法

子午流注法 肝経 丑の時間帯(1時~3時)の養生

丑の時間帯(1:00~3:00)は肝経の気が最も旺盛となる時刻です。

肝臓は“血を蔵す臓器”と言われていて、人の思考と行動は肝臓の血のサポートに頼っていると言われています。

血を蔵す役割の他に、中医学では肝臓は疏泄(そせつ)といって気の巡りを調整する大きな役割があります。

これは全身の循環をスムーズにする役割で、全身の気の巡りが順調であるかは、肝の疏泄機能が正常であることと密接な関係を持っています。

疏泄が正常でない場合は気の流れは失調し、病変を起こしてしまいます。

例えば、張痛、瘀血、女性だと生理痛も引き起こされてしまいます。

では、肝の役割である“血を蔵す”・“疏泄を主る”、この2点を中心に丑の時間帯の気の働きを解説していきます。

丑の時刻 肝の修復とストレス

前述の通り、丑の時間帯(1:00~3:00)は肝経の気が最も旺盛となる時刻です。

この時間帯は陽気が既に生じていて段々と上昇していく時間帯です。

この時間帯は肝気が旺盛となるので深い睡眠が取れれば肝のダメージを修復することができて肝を養うことができます。

肝はストレスが蓄積されやすい器官ですので、修復が十分にされないと肝にストレスが溜まったままの状態となってしまいます。

このような状態は疏泄、全身の気の巡りに影響が出ますので気・血の循環不良を引き起こしてしまいます。

子の時間帯(11:00~1:00)・丑の時間(1:00~3:00)は胆経と肝経の運行時間です。

肝と胆は表裏の関係があり、子・丑の時刻は肝・胆の臓器修復とストレスを身体から排出するのに最強の時間帯です。

この時間帯に質の高い睡眠をとって肝と胆を休ませることで最強の身体、ストレスに強い身体を作っていくことも大事なのです。

丑の時刻 血を蔵す

肝は血液を貯蔵する臓器です。

身体の血液分布を蔵したり、出したり調整する作用があります。

また、肝臓は古い血液は淘汰され、新鮮な血液が産生される場所です。

この代謝は身体が正常であれば肝経が最も盛んな丑の時間帯に行われます。

養生では丑の時間帯に睡眠が取れなければ、肝からの血液の輸出量をはじめ、新陳代謝が上手くいかない、とされています。

そのため、丑の時間帯に睡眠をとらないで起きている習慣がある人は顔色が青白く、情志に倦怠感や焦り、焦燥感が生じやすい傾向にあります。

また、肝臓の病にもかかりやすくなってしまいます。

この時間帯にしっかり寝て血の貯蔵を行うことは大事です。

丑の時刻に大事なのは熟睡

黄帝内経には「寝ている時間帯に血は肝に帰る」と言われています。

寝ている時間帯に全身の血液は肝に貯蔵されて、古い血液は淘汰されます。

そして新鮮な血液が産生され新たな新陳代謝が作られていきます。

この時間帯に熟睡することにより肝の中の血流量は40%も増加して肝臓には大量の血液が集まって栄養の供給、肝細胞の修復・再生をします。

しかし、丑の時刻に肝に血液が集まらなかった場合、ダメージを受けた肝細胞の修復が不十分です。

肝臓は人体の中で最大の代謝器官です。

新たな血液の産生にも支障がでる、毒の解毒ができなくなるといった肝臓が修復されなければ全身にも影響が出てしまいます。

そのため、肝を修復するためにも丑の刻には質の高い睡眠をとる、毎日8時間は睡眠をとる意識を持つと良いです。

肝と月経

月経には肝の疏泄が大きく関わっています。女性は男性よりも肝の気が強い、と言われています。

それは月経や出産が関係していて肝の気が正常だと月経やおりものが正常で妊娠も順調にいくといいます。

しかし、肝の疏泄が不良な状態が続いてしまうと月経・おりものの異常や産後の疾患に要注意だといいます。

中国の文献だと不妊症にも関わる、と言われているので肝の養生は非常に大事です。

基本的な身体づくりのためにも、丑の時刻は熟睡するようにして肝を養う習慣をつけることをオススメします。

肝と腎の関係性

少し余談となってしまいますが、睡眠が取れても腎に蓄えられている腎精が不足していては問題を起こしてしまいます。

肝は木に属し、腎は水に属します。

水生木、つまり水は木を生み出す、という陰陽五行の法則があります。

しかし、肝臓に綺麗な血液が貯蔵されてなければ木(肝臓)は成長することができません。

これは腎臓に蓄えられている精が不足し、人体に入れる水が清水ではなく、淀んでいるものだと肝に貯蔵されている血液にも影響が出てしまうのです。

具体的には、嘔吐、腰痛、下痢、遺尿、小便不利、月経不調、子宮出血、口咽乾燥、といった症状が時期起こされることもあります。

睡眠で肝と血液代謝を良くするもは大事ですが、身体に良い水分を適度にとって腎を養うことも全身の循環には大事なことなのです。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。