経絡

十二経絡の分布と名称

経絡とは身体の気血を流れる通路のことです。

中医学基礎にはこのように説明されています。

経絡とは臓腑肢節と連絡し、上下内外を交流し、全身の気血を運行し、体内各部を調整する通路系統である。

韓晶岩 著「新中医基礎理論」より引用

このような概要となっており、中医学をはじめ東洋医学の整体観念には不可欠なものです。

経絡の「経」は主幹であり、「絡」は枝にあたり気血の通り道として人体を形成しています。

皆さんご存じのツボは経絡上の気血が通る“駅”と言われ中医学では「経穴」と呼ばれます。

経絡は気血の運行通路として臓器・組織がお互い繋がりあって流れる役割をしています。

中でも十二正経五臓六腑の機能・属性と強い関係性があるのが特徴です。

今回は経絡の中でも十二経脈について身体のどこに分布されているか、名称と合わせて説明をしていきたいと思います。

十二経脈の分布・名称

先ず基本的な分布の考え方として、経絡は「陰経」「陽経」に分かれています。

「陰経」「陽経」の分け方は古代の人々は太陽の当たる部分当たらない部分で分けたと言われています。

「陰経」は日中太陽が当たりにくい部分であり、四肢内側に分布されています。五臓六腑でも内側である“臓”が属します。

「陽経」は日中太陽が当たる部分であり、四肢外側に分布されています。五臓六腑でも外側である“腑”が属します。

形井秀一・高橋研一監修 「ツボ単」より引用

また、上肢に循行しているものを「手経」

下肢に循環しているものを「足経」と名前がついています。

では、陰経、陽経が四肢にどのように分布されているか分布の法則・名称を見ていきましょう。

陰経

  • 四肢内側前縁に分布するものを「太陰経」
  • 四肢内側中間に分布するものを「厥陰経」
  • 四肢内側後縁に分布するものを「少陰経」

陽経

  • 四肢外側前縁に分布するものを「陽明経」
  • 四肢外側中間に分布するものを「少陽経」
  • 四肢外側後縁に分布するものを「太陽系」

このように陰経・陽経は四肢外側・内側そして前・中・後のどこを走行するかで名称が決まっています。

手足の前・中・後でそれぞれ名称がついている、といった方が分かりやすいでしょうか。

十二経脈はこのような分布規則で、それぞれ属する五臓六腑の名称が入り各経絡の名前が命名されています。

十二経脈の分布規則と名称

経絡の場所の法則と用語を文字で並べられても分かりにくいと思いますので、イラストと合わせながら見ていくとイメージがつきやすいかと思います。

手経の陰経(上肢内側)

:上肢内側前縁に分布する「手の太陰肺経」

:上肢内側中間に分布するもの「手の厥陰心包経」

:上肢内側後縁に分布するものを「手の少陰心経」

手経の陽経(上肢外側)

:上肢外側前縁に分布する「手の陽明大腸経」

:上肢外側中間に分布する「手の少陽三焦経」

:上肢外側後縁に分布する「手の太陽小腸経」
足経の陰経(下肢内側)

:下肢内側前縁に分布する「足の太陰脾経」

:下肢内側中間に分布する「足の厥陰肝経」

:下肢内側外縁に分布する「足の少陰腎経」

足経の陽経(下肢外側)

:下肢外側前縁に分布する「足の陽明胃経」

:下肢外側中間に分布する「足の少陽胆経」

:下肢外側後縁に分布する「足の太陽膀胱経」

十二正経は、このような分布と名称となっています。

イラストと合わせてみますとそれぞれの経絡が四肢の前・中・後をどのように走行しているか分かってくると思います。

それぞれの経絡の分布とイメージにどうぞご活用ください。

引用・参考文献:韓晶岩 著「新中医基礎理論」

引用文献:形井秀一・高橋研一監修 「ツボ単」

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。