経絡

十二経絡 流注の順序②

前回は十二経絡「流注」の前半部分である手の太陰肺経~手の太陽小腸経まで解説をさせていただきました。

今回はその後半部分である足の太陽膀胱系~足の厥陰肝経までの「流注」についてです。

「流注」とは、十二経脈の気血の流れのことです。

この十二経絡「流注」の流れを各経絡どの順序でどの方向に気血が流れているか、どこで次の経絡と連接するのか部位をイラスト付きで見ていきたいと思います。

なお、各経絡連接部位のイラストは私の手描きとなりますので、お見苦しい所もあるかと思いますがご了承下さい。

十二経絡流注の順序と連接の規則

前回の説明の復習となってしまいますが、

十二経絡は、手の太陰肺経~足の厥陰肝経に流れ、再び手の太陰肺経に戻って気・血は循環しています。

これを図に表すと以下の流注の順序になります。

左上の手の太陰肺経からスタート

手の太陰肺経~足の厥陰肝経の気・血の流注は昼は25周夜は25周1日に50周すると言われています。

十二経脈の流注の流れは手・足の三陰三陽の流れが関連しています。

では、手・足の三陰・三陽の走行・次の経絡と接合する場所の規則を説明をしていきます。

  • 手の三陰経:体幹が始点。手の指先で停止し、手の指で次の経絡と接合。
  • 手の三陽経:手の指先が始点。顔面部で停止し、顔面で次の経絡と接合。
  • 足の三陰経:足の指先が始点。胸部で停止し、胸部で次の経絡と接合。
  • 足の三陽経:頭部(目の周り)が始点。足の指で停止し、足の指で次で経絡と接合。

このような三陰・三陽の12の流れで身体全体に経絡を通して気・血が行きわたるようになっています。

文字で説明をされてもイメージがつかない方が多いと思われますので、次の章からはイラストで経絡の部位・流れる方向と次の経絡との連接部について解説をします。

では、足の太陽膀胱系~足の厥陰肝経の流注の流れを見ていきましょう。

十二経脈の流注・連接の流れ

前回の続きからの解説ですので、足の太陽膀胱経から解説します。

足の太陽膀胱経足の三陽経に属します。

足の三陽経頭部(目の周り)から下向し、足の指で停止して次の三陰経と交流して連接します。

・足の太陽膀胱経

目の上~足趾に下向に走行

足の太陽膀胱経と接合するのは、陰経の足の少陰腎経です。

足の太陽膀胱経の次は足の少陰腎経に流れていくことになります。

この2つは足で連接をします。

膀胱経は第5趾外側端にある経穴【至陰】で終わり、

腎経はスタート地点である足底足心の経穴【湧泉】に繋がります。

・足の少陰腎経

足底部~胸部に上向に走行

次の足の少陰腎経足の三陰経に属します。

足の三陰経足から胸部に上向し、胸部で停止して次の手の三陰経と交流して連接します。

足の少陰腎経と接合するのは、陰経の手の厥陰心包経です。

足の少陰腎経の次は手の厥陰心包経に流れていくことになります。

この2つの経絡の連接は胸部となります。

足の少陰腎経は停止が胸部鎖骨下にある経穴【兪府】です。

次に胸部脇にある手の厥陰心包経の起点【天池】に繋がります。

・手の厥陰心包経

胸中~中指に下向に走行

手の厥陰心包経手の三陰経に属します。

手の三陰経胸~手に下向する流れとなります。手部で停止し、次の経絡の手の三陽経と交流して連接します。

手の厥陰心包経と接合するのは、陽経の手の少陽三焦経です。

手の厥陰心包経の次は手の少陽三焦経に流れていくことになります。

この2つの経絡の連接は手指部となります。

手の厥陰心包経停止は中指の経穴【中衝】です。

次に手指部にある手の少陽三焦経の起点、環指の経穴【関衝】に繋がります。

・手の少陽三焦経

環指~眉毛外端へ上向し走行

手の少陽三焦経手の三陽経にあたります。

手の三陽経手の指先から上向の流れとなります。顔面部で停止し、次の経絡の足の三陽経と顔面部で交流して連接します。

手の少陰三焦経と接合するのは、陽経の足の少陽胆経です。

手の少陽三焦経の次は足の少陽胆経に流れていくことになります。

この2つの経絡の連接は顔面部となります。

手の少陽三焦経の停止は顔面眉毛外端にある経穴【糸竹空】です。

次に顔面部外眼角外方にある足の少陽胆経の経穴【瞳子髎】に繋がります。

・足の少陽胆経

目外~足趾へ下向し走行

足の少陽胆経足の三陽経にあたります。

足の三陽経頭部(目の周り)~足の指に下向する流れとなります。足の指で停止し、次の経絡の足の三陰経と足の指で交流して連接します。

足の少陽胆経と接合するのは、陰経の足の厥陰肝経です。

足の少陽胆経の次は足の厥陰肝経に流れていくことになります。

この2つの経絡の連接は足趾部となります

足の少陽胆経の停止は第4足趾にある経穴【竅陰】です。

次に第1足趾にある足の厥陰肝経の経穴【大敦】に繋がります。

足の厥陰肝経

足の厥陰肝経足の三陰経にあたります。

足の三陰経足の指先~胸腹部に上向する流れとなります。胸部で停止し、次の経絡の手の三陰経と交流して連接します。

ここで言う三陰経とは、手の太陰肺経にあたり、

足の厥陰肝経の次は手の太陰肺経にまた戻って流れていくことになります。

スタートする肺経に戻って同じような順序の流注で経絡を通って気血が循環をしていくこととなります。

肝経・肺経の経絡の連接は胸部となります。

足の厥陰肝経の停止は部にある経穴【期門】です。

手の太陰肺経の開始は胸部の【中府】です。

2回に渡って経絡の流注のついて解説してみましたがいかがだったでしょうか?

私が中国で習ってきた推拿技術は、根底にこのような経絡の流れを大事にしている流派でした。

この経絡の流注は子午流注法とも繋がっていて、中国の老中医師は経絡の流注の流れも踏まえながら養生指導をしていたのが印象的でした。

子午流注法については以下の解説記事をご覧ください。今回の経絡流注とも繋がっていて面白いです。

子午流注法|宏福中医研究会 (koufuku-chui.com)

参考文献:

韓晶岩 著「新中医基礎理論」

形井秀一・高橋研一監修 「ツボ単」

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。