経絡

十二経絡 流注の順序①

前回は十二経絡について経絡の分布場所と名称について法則性を解説いたしました。

今回は気血が走行する経脈の運行順序について解説をいたします。

手の太陰肺経に始まり~足の厥陰肝経に至る一連の経絡の気血が流れる順序です。

手の太陰肺経~足の厥陰肝経に至ったら、また再び手の太陰肺経に戻って同じように回っていくのが経絡の流れです。

この十二経脈の気血の流れを「流注」といいます。

今回はこの流注の流れを2回に分けて解説します。

今回は流注の前半部分である手の太陰肺経~手の太陽小腸経までイラスト付きでどの方向に気血が流れるか、どこで次の経絡と連接するのか部位を見ていきます。

十二経絡流注の順序

十二経絡は、手の太陰肺経~足の厥陰肝経に流れ、再び手の太陰肺経に戻って気・血は循環しています。

これを図に表すと以下の流注の順序になります。

左上の手の太陰肺経からスタート

手の太陰肺経~足の厥陰肝経の気・血の流注は昼は25周夜は25周1日に50周すると言われています。

正常な人であれば昼・夜で50周しますが、経絡上に気血の異常が生じてしまうと流れは遅くなる、また停滞してしまいます。

気滞、冷え、瘀血などが経絡上の気血の流れを遅くしてしまう原因として挙げられます。

十二経脈の流注と連接の規則

十二経脈の流注の流れは手・足の三陰三陽の流れが関連しています。

では、はじめに手・足の三陰・三陽の走行・次の経絡と接合する場所の規則を説明をしていきます。

  • 手の三陰経:体幹が始点。手の指先で停止し、手の指で次の経絡と接合。
  • 手の三陽経:手の指先が始点。顔面部で停止し、顔面で次の経絡と接合。
  • 足の三陰経:足の指先が始点。胸部で停止し、胸部で次の経絡と接合。
  • 足の三陽経:頭部(目の周り)が始点。足の指で停止し、足の指で次で経絡と接合。

このような三陰・三陽の12の流れで身体全体に経絡を通して気・血が行きわたるようになっています。

三陰・三陽の経絡の法則を言われても、また流注のイメージに繋がってこない方が大半だと思います。

十二経絡の流注の流れ、経絡と経絡の接合をイラスト付きで次の章で詳しく書いていきますのでご参考下さい。

十二経脈の流注・連接の流れ

経絡の流注ですが、先ず手の太陰肺経から開始されます。

手の太陰肺経手の三陰経に属します。

手の三陰経胸中に起こり、胸~手に下向手指で手の三陽経と交流して連接します。

・手の太陰肺経

胸~手に下向へ走行

手の太陰肺経と接合するのは、陽経の手の陽明大腸経です。

手の太陰肺経の次は手の陽明大腸経に流れていくことになります。

この2つは手指で連接をします。

肺経は母指にある経穴【少商】で終わり、

大腸経はスタート地点である示指の経穴【商陽】に繋がります。

・手の陽明大腸経

手~頭に上向へ走行

次の手の陽明大腸経手の三陽経に属します。

手の三陽経手~頭に上向する流れです。頭面部で停止し、次の経絡の足の三陽経と交流して連接します。

手の陽明大腸経と接合するのは、陽経の足の陽明胃経です。

手の陽明大腸経の次は足の陽明胃経に流れていくことになります。

この2つの経絡の連接は顔部位となります。

手の陽明大腸経は停止が顔面部の鼻の横にある経穴【迎香】です。

次に顔面部・目の下にある足の陽明胃経の起点【承泣】に繋がります。

ここまでの説明で経絡の走行の方向と次の経絡の接合部についてイメージができてきたでしょうか?

では、足の陽明胃経から次・次と説明していきます。

・足の陽明胃経

頭部~足の指に下向へ走行

足の陽明胃経足の三陽経に属します。

足の三陽経頭部(目の周り)~足の指に下向する流れとなります。足の指で停止し、次の経絡の足の三陰経と足の指で交流して連接します。

足の陽明胃経と接合するのは、陰経の足の太陰脾経です。

足の陽明胃経の次は足の太陰脾経に流れていくことになります。

この2つの経絡の連接は足趾部となります。

足の陽明胃経停止は第2足趾の経穴【厲兌】です。

次に足趾部にある足の太陰脾経の起点、第1足趾【隠白】に繋がります。

・足の太陰脾経

足趾~胸腹部に上向へ走行

次の足の太陰脾経足の三陰経にあたります。

足の三陰経足の指先~胸腹部に上向する流れとなります。胸部で停止し、次の経絡の手の三陰経と交流して連接します。

足の太陰脾経と接合するのは、陰経の手の少陰心経です。

足の太陰脾経の次は手の少陰心経に流れていくことになります。

この2つの経絡の連接は胸部となります。

足の太陰脾経の停止は胸部脇の経穴【大包】です。

次に胸部にある手の少陰心経の起点【極泉】に繋がります。

・手の少陰心経

胸部~手指にかけて下向に走行

手の少陰心経手の三陰経にあたります。

手の三陰経胸~手に下向する流れとなります。手部で停止し、次の経絡の手の三陽経と交流して連接します。

手指で手の三陽経と交流して連接します。

手の少陰心経と接合するのは、陰経の手の太陽小腸経です。

手の少陰心経の次は手の太陽小腸経に流れていくことになります。

この2つの経絡の連接は小指部となります。

手の少陰心経の停止は小指内側にある経穴【少衝】です。

次に小指外側部にある手の太陽小腸経の経穴【少沢】に繋がります。

・手の太陽小腸経

指先~顔面部へ上向の走行

手の太陽小腸経手の三陽経にあたります。

手の三陽経手の指先から上向の流れとなります。顔面部で停止し、次の経絡の足の三陽経と顔面部で交流して連接します。

手の太陽小腸経と接合するのは、陽経の足の太陽膀胱経です。

手の太陽小腸経の次は足の太陽膀胱経に流れていくことになります。

この2つの経絡の連接は顔面部となります

手の太陽小腸経の停止は耳部にある経穴【聴宮】です。

次に目部にある足の太陽膀胱経の経穴【晴明】に繋がります。

手の太陰肺経~手の太陽小腸経まで経絡の流注の流れについてイラスト付きで書かせていただきました。

各経絡の流れる方向と次の経絡が繋がる連接部位は理解できたでしょうか?

ここまでが経絡流注の前半の流れです。

次回は足の太陽膀胱経~足の厥陰肝経までの流注の流れを書いていきたいと思います。

参考文献:

韓晶岩 著「新中医基礎理論」

形井秀一・高橋研一監修 「ツボ単」

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。