四季の養生

冬の養生原則と茶療

秋が過ぎ去っていき、一年で最も寒い季節がやってきました。

冬は閉蔵の季節といい、身体は内側に貯めていたエネルギー・陽気を守っていく時期となります。

これは、冬は気温が低いため外の寒い風に当たってしまうと身体が冷えてしまいます。

冷えた部分を温めるのに陽気を消費してしまうので貯めていた陽気を消耗してしまうのです。

陽気を消耗してしまうと、身体を守ってくれる防衛力が弱くなってしまうので風邪をひきやすい身体となってしまいます。

冬に風邪、インフルエンザ、コロナにはかかりたくないですよね。

そのため、身体に貯蓄された陽気を寒さから守る、身体の抵抗力をつけることが冬の養生のカギとなります。

夏と冬で陽気の消耗の仕方が異なる

夏は陽の季節、冬は陰の季節と言われています。

気候が正反対の季節で、どちらも陰・陽が盛んな季節ですので身体の陽気の消耗も異なります。

夏は暑さにより汗を大量にかいて陽気を消耗してしまいます。

暑さにより血流が良くなって汗腺が活発となり、汗をかくことで老廃物も身体の外に出て行ってくれます。

そのため、夏は水分補給が非常に大事です。

冬は前述の通り、気候が寒冷のため外の寒い風に当たることによって陽気を消耗してしまいます。

寒い風にあたり身体が冷えてしまうと精気、精血が消耗してしまいます。

それと同時に人体の皮膚に寒邪がついてしまうと、その部分から気血の走行が阻害され汗をかきにくくなってしまいます。

普段は身体を動かすことで汗をかいて老廃物を体外に出すことができますが、冬は汗で出すことができにくいのです。

冬は腎臓の気が旺盛になる時期ですので身体は腎臓の裏の臓器、膀胱を使って老廃物を排出しようとします。

他の時期と比較すると冬の尿量は比較的多いものとなっています。

基本冬の養生原則は早睡晩起となります。早く寝て遅く起きるのが良い、という意味です。

冬は日の当たる時間が短いです。その日の当たる時間に合わせて活動して太陽の当たらない陰の時間帯は休んで陽気の消耗を抑える習慣が良いとされています。

早睡晩起の習慣をしていれば汗を大量にかく夏と比較して冬の陽気の消耗は少なくなる、と言われています。

冬の茶療の考え方

このような背景がありますが、冬は茶療の考え方が夏よりも重要となります。

冬の茶療では冬の季節に適したお茶を多めに飲むことで尿で老廃物を排出していくことが方針としてとられます。

ここで注意点として寒涼性のお茶は多めに飲まないことです。

普段、私達が飲む緑茶は性味が寒涼であって飲みすぎてしまうと身体を冷やす要因となってしまいます。

これは身体を温める作用がある陽気を消耗してしまう要因となってしまいます。

冬は緑茶を飲む際は多く飲まないことにするのが養生のコツです。

冬の季節に合ったお茶は性味が温平性のお茶を選ぶのが良いです。

温平性のお茶とは茶葉が紅色で発酵されているのものです。

温平性のお茶の1つは紅茶です。

紅茶を多めに飲むことによって身体を温めて潤いを足してくれて老廃物の排出もしてくれます。

紅茶についてはこちらの記事にも詳しく書いていますので合わせてどうぞ。

もう1つはプーアル茶です。中国では発酵されているものが最も良いとされています。

プーアル茶も紅茶と同様に潤いを与えてくれます。それに身体の保温効果、お腹を温めてくれる作用があります。

中国茶療で冬に良いとされる代表的なお茶は紅茶、プーアル茶の2種類になります。

まとめ

冬は気温が寒い、乾燥している時期ですので身体を温める、潤い作用がある紅茶・プーアル茶を飲んで養生習慣にすると良いです。

特にお腹を冷やしてしまうと消化器の脾臓・胃にも影響を及ぼしてしまいます。

外に出る際には防寒を忘れずに、温平性のお茶を飲むことで身体の保温・尿で余分なものの排泄を図って身体の陽気を守る習慣をつけてみて下さい。

ちょっとした習慣ですがこの養生習慣を身に着けることで強い身体は作られます。

ではこの冬、読んでくれている皆様がインフルエンザ、コロナにかからないことを祈っています。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。