ニュースを見ると新型コロナウイルスのオミクロン株の情報が多く流れるようになりました。
実際1月のこの時期は毎年インフルエンザ・風邪が流行る時期で気を付けていないと人の免疫力が弱ってしまう時期なのです。
中医学では冬期は腎臓の働きが旺盛となり、春・夏に身体の中に貯めた陽気を貯蔵する・陽気を守る働きをします。
この陽気とは、身体を温める作用・身体の外から侵入してこようとする邪・細菌・ウイルスから身体を守る役割があります。
中医学で冬期に人の免疫力を語るにあたって陽気が身体に蓄えられていることは非常に重要なことです。
しかし、陽気を身体に蓄える時期である春・夏に太陽の光を浴びていない、身体を冷やしてしまっていると陽気は身体にチャージされずに冬に免疫力の低下を引き起こして冬の流行り風邪・病気になりやすくなる傾向があるのです。
今回は身体を守る、という観点から冬期と人の身体の陽気について解説をしていきます。
小寒時期は身体の防衛力が弱くなってしまう
今日、1月11日の時点で24節気では小寒にあたります。
冬至で陰が極まり、小寒は陽気が芽生えてきている時期となります。
図の小寒の太極図でも分かる通り、陰の占める割合が9割で陽はその1割といった所でしょうか。
陰が強い段階ですので、外の外気で陽気を身体に取り入れることができないのがこの時期です。
陰気が盛り盛りの時期ですので、冬の寒さは身体の中にある陽気を消耗させます。
腎臓に蓄えられている陽気は、冬の寒さに当たるに従って消耗していくのです。
徐々に身体の中の陽気が減っていきます。
ここで用語解説となりますが、陽気は身体を温める作用、身体の外側にあって邪・ウイルス・細菌が侵入しないように身体の防衛をする働きがあります。
陽気が減ってしまうと身体の防衛も弱くなりますので免疫力の低下を引き起こしやすくなってしまいます。
この陽気の消耗について詳しく見ていきますと、上図の矢印の通り冬が始まる立冬では春・夏に蓄えられた陽気が腎臓に多く貯蔵されています。
しかし、冬が深まるににつれて矢印が右肩下がりになる通り、徐々に陽気は減る傾向にあります。
また、冬の風に当たる頻度が多ければ蓄えられている陽気も消耗が激しいものとなります。
そのため、冬至を過ぎた小寒時期には身体の中の陽気が多く消耗されてしまい、病の元となる邪・ウイルス・細菌が身体に侵入しやすくなってしまうのです。
身体に侵入した後に邪・ウイルス・細菌といった病気の元と闘うのは正気です。
正気も身体を防衛する陽気ですから、冬のこの時期に身体の中に陽気が少ない状態だと防衛そして闘う力が弱い状態となってしまうのです。
そのため、邪の力が勝ってしまい、症状がひどくなってしまう、治るまでに長い期間を要してしまう、後遺症が出てしまうといったことが起こってしまいます。
そのため、1月の中旬のこの時期は毎年インフルエンザや風邪が流行るので、今回はコロナウイルスのオミクロン株が流行ってきているのだと思っています。
免疫力を守る冬の養生
冬は腎臓に蓄えられた陽気を守るのが鉄則となります。
前述の通り、冬が深まるにつれて腎臓に蓄えられている陽気は冬の寒さに当たるに従って消耗されていきます。
ならば寒さから徹底的に身体を守る、陽気をチャージする、という対策を取れば良いのです。
ここでは3つの養生習慣を紹介させていただきます。
1,寒さから身体を守る
基本、冬に薄着をすることを避けます。肌をさらすなど絶対に避けた方が良いです。
これは寒が皮膚表面が当たり、その部分に血流障害が生じてしまいます。
身体の中の陽気は冷えた部分を温めるために働きます、そして消耗されてしまうからです。
中国では冬は上下ともに何枚も重ね着をする習慣があり、皆さん着ぶくれ状態でした。
ユニクロの厚いヒートインナーも非常に売れていて、上下ともに種類が日本よりも豊富に揃っていました。
日本では女性の下半身が比較的薄着の傾向があるようです。
“冷えは万病のもと”と言われています。
女性を見ていて思うのは身体が冷えたことによって引き起こされている生理痛が多い、ということです。
特に冬は自分の身体を守るために、下半身は冷えないように衣服を工夫するのを習慣にしてほしいと思います。
2,太陽の光を浴びる
晴れた日の太陽の光は陽気です。
太陽の光を浴びるだけでも陽気を身体の中にチャージすることができます。
中国でもテレワークがどうやら流行っているようで、この前中国テレビの健康番組を見ていたら「テレワークで外に出ない分、窓際で仕事をしよう」という特集が組まれていました。
窓際で仕事をするのは太陽の光を浴びて陽気を身体の中に入れるためです。
基本、陽気を身体にチャージするには30分以上は太陽の光を浴びる必要があります。
在宅ワーク中も太陽の光を浴びるよう工夫したり、防寒をしっかりした上で散歩に行く習慣を作るのも良いと思います。
3、腎兪にカイロを貼る
冬は腰痛の相談も多くなる時期です。
実は腰痛は腎陽が少ないことでも起きてしまうのです。
つまり、腰痛は陽気が身体に少ないことを示すサインでもあります。
冬に腰痛を起こさない、腎に蓄えられている陽気を守るために腎兪というツボにカイロを貼って温めるのをオススメします。
腎兪は手を図のようにウエストのくびれに腰をあてた時に親指があたる部分です。
この腎兪は腎臓と直接気の交流ができる経穴となっていますので、直接温めることにより腎臓にも熱を伝わらせることができます。
また、カイロでは熱すぎるといった場合は腹巻をしてお腹と腰を冷やさないように習慣づけるのも良いと思います。
以上が冬の養生となります。
もちろん冬が極まっている今からでも遅くないので、身体の腎に蓄えられている陽気を消耗しないように心がけてみて下さい。
またもう1つ重要なことがあります。
過労や心労を重ねないこともどうか意識してみて下さい。
過労や心労も陽気を消耗させてしまいます。
疲れていたら休む、休養するといった自分のバランスを意識した生活も大事にしていただきたいです。
病にならない・病に強くなる身体を作るのは日ごろの習慣です。
習慣が丈夫な身体・心を作る、といっても過言ではないと思います。
上記のような養生習慣は非常にシンプルなものです。
このシンプルな養生習慣を生活に取り入れて積み重ねることで強い身体は作られます。
身体が強くなると心もついてきますので、小さなことから始めていってご自分の健康管理を習慣にしてみて下さい。