中国での体験

中国の医療現場経験②患者の振り分け

クリニックには医療スタッフは主に中国人で構成されており、そこに香港人、欧米人、日本人数名の医療スタッフが在籍していました。

設備は日本のクリニックと同様に診察室、処置室の他レントゲン室、リハビリ室、キッズスペースがあります。

多くの外国人駐在員が訪れるクリニックでしたので受付は通訳業務も兼ねていていつも忙しそうな状態でした。

そんな中でも受付スタッフは片言の中国語の私の言語サポートも行ってくれて…

友達の付き合いもしてくれました。感謝感謝。

ここで行われている西中医結合医療は西洋医学科・中国医学科の2部門に専門家に分かれていて

2人のドクターが診察で西医、中医どちらが治療に適切か判断されます。

図にあるように中心となっている医師は中国人の診療医(メディカルチーフ)とアメリカ人ファミリードクターです。ちなみに二人とも英語も堪能です。ナースも英語を話せるのが数名。さすが国際医療クリニック!

ここで部門紹介です。

★西医スタッフ★

医師(前述の2人)、整形外科医(香港人)、歯科医(シンガポール人、日本人)、ナース(中国人)、レントゲン技師(中国人)、アスレチックトレーナー(カナダ人、アメリカ人、日本人)、理学療法士(香港人)、作業療法士(日本人 私)

という構成でした。今はもう変わっているんだろうな。

西医中心で診察をしていたので西医スタッフの方が圧倒的に多めです。

★中医スタッフ(全員中国人)★

中医師、康复治疗师(中医のリハビリテーションをする人)

中医スタッフは外部からの委託でしたので予約がある時のみクリニックに来ていました。

チーフにどんな基準で西医・中医分けてるの?と聞いたところ、

・国籍

・症状

で分けている、ということでした。

国籍が欧米系で中医、東洋医学系が馴染みのない背景がある患者は西医治療、西医部門のスタッフ対応。

日本人は漢方薬、鍼灸など東洋医学に馴染みがあるので西医・中医対応もしてくれていました。

日本人の場合の西医・中医具体的な診察の分け方は、

西医:風邪、アレルギー、整形外科疾患といった一般的な症状。

中医:慢性病。虚弱体質の改善(風邪をひきやすい体質の改善)、アレルギー治療、

   婦人科治療(生理痛の緩和、不妊症治療)、ぎっくり腰( 康复治疗师の治療が上手かった)

チーフ曰く、中医は人に向き不向きがあるようで振り分けに少々頭を悩ませていました。

我々日本人が医療に求めるものは薬の速効性、早く治すことが大半だと思います。

中医は中医薬を使って長い期間かけて体質改善をすることになるので、

途中で諦めて来なくなってしまう人、中医薬が不味くて飲めないと言ってくる人がいるからです。

本人が中医薬治療を受けたい、と言えば中医部門に通すのですが、それ以外は振り分けるのに人を見極めていたようでした。

私が担当している患者では1人中医も受けていて中西医結合で継続して治療している方がいましたが、

話を聞いている限り上記の理由で途中で止めてしまう人が多かったです。

客層で言うと一般の中国人がクリニックに来て中医も受けている人がいて、

医療においても習慣や文化の違いとは大きいな、と思ったものです。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。