中国での体験

中国の中西医療現場で最初にお世話になったチーフドクター

本当に有難いことに中国に住んでいた5年間、2つの国際医療団に所属してもらい様々な経験をさせていただきました。

今回は中国に渡って日が浅い頃にお世話になった医療団のチーフについて書きます。

西医専門家中心の中西医結合医療現場での話です。

私は以前日本では病院で作業療法士として回復期・維持期のリハビリテーション業務を行ってきましたが、

その時の医師との関りはカンファレンスや患者さんのことで相談がある時のみでした。

そのため医師と話すときは気を使ったし、

距離感がどうしてもあったので親密な関係になることはありませんでした。

(↑極端なイラストだけど年配の医師は話にくかったなぁ)

中国で国際医療団に所属してからは医師との関りが日本で働いていた時と驚くほど違っていました。

最初にいたクリニックは主に西医中心の所で医療従事者が中国人そして欧米人、数人日本人がいる所でした。

入ってみるや上司である中国人医師のメディカルチーフが優しすぎる方で、

中国語の言葉・1つ1つの動作が驚くほど丁寧でした。

中国では街を歩いていると言葉が強くて行動も大雑把な人が多かったので、チーフの丁寧さは際立って見えてしまいました。笑

その頃は中国語もままならずチーフをはじめ他の医療スタッフとはどう話していいか分からず…、

パートナーであるハーフの友人を介さないと話せないでいました。

それに気づいたのかチーフから「疲れるから気を使わなくていいんだよ」と声をかけてくれました。

ですが私は頭がガチガチでしたので「あなたはドクターだから気を遣うよ!」と言うと

「確かにドクターだけど医師だから偉いとかはないし同じ医療業務をする仲間だからもっと気楽に話していいよ」と言われました。

なんていい人!!!

こういうことを言ってくれるだけあって、人としても決して偉そうにせず謙虚で素晴らしい医師でした。

それから自分の中で壁が取れて医師達、他の医療スタッフとも言葉が片言ながらもコミュニケーションを取れるようになりました。

中国人の友人が教えてくれましたが目上の人と話す時は冒頭にとりあえず「请」をつけて話すといい、と教えてくれました。

日本語は謙譲語・尊敬語を使って目上の人と話しますが中国人とは目上の人にフランクに話していいので会話が非常に楽でした。そうなると距離感も段々と近くなっていった印象があります。

また、このクリニックでのリハビリテーション業務は専門家の言語が違う分同業者に相談ができませんでした。

日本ではカンファレンスで専門家同士で決定する事項も中国のクリニックでは1人で決めなければならず非常に孤独だっだのを覚えています。

その時も良き相談相手になってくれたのがチーフとアメリカ人医師です。

患者のことで悩んで押し潰されそうになっていた優しく諭すように私にに手を差し伸べてくくれました。

今思い返すと感謝しかありません。

その後、時が経つにつれて自分の中で中医を学びたくなり、

チーフのいるクリニックを去ることになるのですが、

報告すると快く「頑張って!中医は覚えることが多いから俺は諦めたんだ。お前はずごいよ。」

とサラっと言って送り出していただきました。

思い返すとチーフから見ると外国人である私の意見を毎回ちゃんと聞いてくれて、尊重もしてくれて…。

日本のリハビリテーション医療にも興味を持ってくれて片言ながら色々話しました。

中でも印象に残っているのはチーフと中医科の康复治疗师(中医科のリハビリをする専門家)のおじいちゃん先生と3人で西中医結合医療について語ったことです。

会話が高度すぎてついていけなかった部分もあったけど「西医が得意な所、中医が得意な所を取り入れれば多くの可能性を広げられるよ」といった話をしました。

興奮するぐらい楽しかったなぁ。

今でも思い出すとホッコリする思い出です。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。