中医薬故事

中国 上医の中医師

中国で中医の勉強を師に教わる中で中国でトップクラスの中医師とはどのような人か?という話をされたことがありました。

中国はご存じの通り人口が多いので中医師もレベルごとに分けられます。

大まかに3つにレベルが区分されているようですが、中でもトップクラス中のトップは医者の中でも選ばれし者の集まりのようです。

単刀直入に言うと、トップクラスの中医師は神に選ばれた者、と聞かされていました。

キングダムを読んでいる方は分かると思いますが、まるで劇中に登場するカリスマ将軍のようです。

上医・中医・下医

古代中国の医者の話です。黄帝内経に出てくる未病がキーワードとなります。

未病とは、症状はでないけれども何か調子が悪い、といった発病する前の状態です。

東洋医学では未病の段階で原因を追究して発病を防ぎます

この未病の段階で治療できる中医師は名医と言われます。

その医者の段階は古代中国では以下のように分かれていたようです。

下医は一般的に病気を考えたり病気をよくしようとする人を指す。対症療法をして目先の症状をよくしようとする人などが典型的な例だが、病名に準拠して治療をしてしまう人を指すこともある。

中医は病気ではなく病人を診る人を指す。病名や症状にとらわれず、その人の人間像、精神性、人間関係、生活、食事環境など、人として生きることに直結しているあらゆることに目を向けて、その人をよくしようとする医者を指す。

上医とは人を見る医者でさえなく、社会をよくする人であり政治をよくする人であり、地球環境をよくするような人を指す。

内海聡 「心の絶対法則」より引用

私が以前いた病院では対症療法中心で、発病して慢性化した患者様のリハビリテーションに長年携わってきました。

リハビリテーションは3ヶ月・半年など長い期間行う必要性があり、完全に病前の状態に回復する人は少数でした。

病になりきってしまうと、どうしても回復に長い期間を要し、後遺症を残してしまいます。

中国に渡って中医診療所で中医学を学んでからは、病人を診て未病を治す中医の段階を目指していて勉強を続けています。

患者様・お客様と向き合う時は症状が出る前に兆しを掴んで先手を打って施すことを意識していますが、師と比べるとまだまだで…知識も治療技術も日々学んでいかなきゃと反省する日々です。

中国のトップクラスの中医師

上医・中医・下医の話をしましたが、現在も中国の中医師のトップクラスは上医の方々だと聞きます。

なんでも未来を予測する力、現在の社会状況からどのような病が流行するか、地球環境によって人にどのような影響がでるか、といったことを見ることができる人たちです。

去年、新型肺炎が流行しだした頃に師からトップクラスの中医師のコロナウイルス分析の記事が送られてきました。

内容は易で疫病と疫病が流行る周期、発症場所の分析がされており、それを元に新型肺炎症状に適応する中医薬をいち早く作っていたようです。

中国の新型肺炎の医療背景にはトップクラスの中医師の活躍がありましたが、このような情報は表にでてきていないのが残念です。

引用させていただいた文献です。

病はどのように作られるか、陰陽五行の法則などが載っている読みごたえがある本です。

なかなか辛口の文章ですが東洋哲学や法則性から病気について勉強させていただきました。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。