養生

中医式・細菌の空間抑制方法

私が住んでいた中国広州は亜熱帯の地域で1年のうちの大半は気温が高く、湿度が90%は当たり前の気候でした。

日本の春・夏・秋・冬の四季のある気候と全く異なるため中国広州に引っ越して1年目は身体が高温多湿の亜熱帯気候に慣れず体調を崩して風邪ばかりひいてしまっていました。

先輩日本人からは「体調不良が広州の洗礼」と教えられ、「1年目は気候に身体が慣れるのに精いっぱいだから」と教えられました。

1年目を過ぎたら私自身も無事、広州の気候にも慣れてクリニックの仲間入りをさせていただいたら、体調不良・風邪で来る日本人が多い多い…。

この時のドクターに教えられたのですが、中国広州は気温・湿気が高いため日本と比べると風邪を引き起こす細菌が比較的強い、ということでした。

確かに、高温多湿はジメジメと蒸れるイメージで細菌の温床で力が強そうですよね。

今回はこの強力な細菌から身体を守る方法について、広州の中医診療所で老中医師に教えていただいた方法を紹介します。

予めお伝えしておきますが、今回紹介する方法は養生方法として中国の民間療法の類に入っているものです。

ウイルス・細菌を撃退するものではありません。

中国の医療界でも撃退はできないが予防にはなるかも?と専門家の間で議論がなされているようで、悪魔でもこのような養生方法がある、ということで紹介させていただきます。

空間の抑菌にお酢を使う

気候に慣れないと身体が弱って体質が虚弱体質に傾いてしまいます。

もちろん身体の守りも弱くなってしまうので、細菌が身体の中に侵入しやすくなり風邪をひきやすくなってしまいます。

特に小さいお子さんがいる場合、広州に引っ越してからお子さんの度重なる体調不良と風邪で病院通いが増えた方もいるかと思います。

これから紹介する方法は中医診療所の老中医師から教えていただいた方法で、お酢を使った空間内の細菌の抑制方法です。

私たちの周りの空気中にはたくさんの細菌類が漂っています。

お酢を使って、その細菌類の動きを止めようという方法です。

方法は簡単です。

鍋にお酢:水1:1の割合で入れて沸騰させます。

お酢:水がなくなるまで蒸発させて、お酢の成分を空間内に漂わせるようにします。

この蒸気のお酢の成分が空間の細菌の動きを止めてくれます。

ちなみにこの方法、中国のネット・テレビでも取り上げられていて、「殺菌効果がある」と言われていたようですが、医師達が研究した結果「細菌の動きを抑制する、動きを緩慢にさせることはできる」と報告されています。

お酢の成分の蒸発を上手く使うことで、風邪を引き起こす細菌の動きを抑制することにより室内を浄化する方法にはなるようです。

注意点

このお酢:水1:1の成分蒸発方法は注意点があります。

お酢の刺激が強いため、少しずつ沸騰させて蒸発させないとお酢の刺激により目がしみる、咳がでる、といった症状が出てしまうことです。

特に肺が弱い、呼吸道が敏感、咳が既に出てしまっている方は刺激が強いのでこの方法は避けるように言われています。ご注意ください。

また、使用するお酢ですが果実酢をお勧めします。

私自身も広州在住時は身体が弱って風邪をひきそうな時にこの方法を何度か試してきたのですが、普通のお酢を使うと酸味の刺激臭が強いのです。

果実酢だとフルーツの成分が含まれているので、お酢の強い香が比較的マイルドになります。

また、1:1以上水でお酢を薄めてしまうと細菌抑制の効果は無いようです。

お酢:水、1:1の割合を守り、弱火で沸騰させてお酢の成分を空間に蒸発させるようにして下さい。

ウイルスには効かないお酢の空間浄化

お酢の成分蒸発は空間の細菌の動きの抑制には発揮されるようです。

しかし、細菌の動きは抑制できても、ウイルスには効かないことが報告されています。

一時期、中国で新型肺炎にも効くのでは?と、この方法がネットでも話題になったようですが、新型肺炎のコロナウイルス抑制には空間を高濃度の酸性にしなければ意味がないようで、刺激があまりにも強すぎてしまいます。

高濃度の酸性状態とは、人の呼吸道である気管支にダメージを与えてしまうレベルです。

やはり、ウイルス対策には外の空気の換気が一番良いようです。

まとめ

今回、お酢を使った空間の細菌抑制方法を紹介させていただきました。

今の時期、大寒は身体の免疫力が弱くなり、風邪などひきやすい時期です。

ウイルス抑制には今回紹介させてもらったお酢のを蒸発させる方法は効きませんが、身体が弱っているな、風邪をひきそうだな、と感じている方は細菌抑制のためにお酢の空間抑菌方法、そして外の空気の換気の2つを上手く組み合わせて、この冬のお家時間を乗り切ってみて下さい。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。