中医関連の紹介

中医学とお寺

私は小さい頃からお寺とは縁があって仏教に触れる機会が多くありました。

特定の宗教に入っているわけではありませんが、祖父がしょっちゅうお寺さんに出かけていくのを見て育ってきました。

「仏さまを大事にしなさい」というのがうちの家系代々の教えのようで私もそう言われて育ってきました。

ありがたいことに私も30代に入ってからお寺さんと縁ができて今でもお付き合いがあります。

今のお寺は様々な取り組みをしていて、私とご縁のあるお坊さんは仏教で悩みを解決する“お悩み相談”に力を入れている方です。

私も“お悩み相談”で助けられた一人で、人生の壁のようなものにぶつかって困っていた所をお坊さんからアドバイスをもらってなんとか切り抜けてきました。

↓お世話になっている会津若松 正雲寺の無聖和尚のブログです。

http://shounji.sblo.jp/article/187232662.html

相談者の悩み相談に真剣に向き合っているご住職です。

中国に渡ってからもお寺との縁がありました。

中国は仏教のお寺もありますが、仏教よりも古くからあった道教という宗教があります。

道教は仙人になる教えで、中医学基礎の陰陽五行は道教思想によるものです。

中国では、道教のお寺で道士(道教の僧侶)と数回お話する機会がありました。

道士のおじいちゃんは不思議な方で私の性格や考え方の癖を色々言い当てて、その上でどのように今の困難を切り抜ければ良いか道教の教えを教えてくれました。

中国で道士にお世話になった天后宫

私が出会った仏教のお坊さん、道教の道士の方は教える手段・考え方は異なりますが二人とも共通して言っていることがありました。

仏教、道教ともに…

「人を幸せにするための教え」という言葉です。

この教えの真相を知るために仏教は「ブッダの言葉」、道教は「老子」を読んでお二人の考え方に追いつこうとしてみたのですが、どちらの書籍も哲学的ではありますが、“人が幸せに生きるための考え方”が書いてあるような気がしました。

その後、中国で中医診療所で中医学を勉強することになるのですが…

これも縁なのでしょうか。

私に中医学を教えて下さった李老中医師、趙教授も古代宗教の教えを大事にしている方でした。

李医師は仏教の教えを大事にしている方で、感情を一定にして、人を良く観察した上で温かく接することを大事にしている医師でした。

趙医師は自分が感じる感覚を大事にしていいて、道教のの考え方を中心に身体の整体観念を教えてくれる方でした。

左が趙教授、右が李老中医師。真ん中伊藤。

この二人の診察室の傍らには仏教・道教の本が常に置かれていているのが印象的でした。

二人の学んだことは「中医学は古代宗教の考え方が基盤に入っていて、宗教観を大事にすること」と教えられました。

そして

「中医学は人を幸せにするためのもの」

とはっきりと教えられました。

また、李医師からはこのような教えをいただきました。

「患者と話すのは気と気の交換であって、すごい医師は話すだけで人を楽に、元気に、明るくする。

一流の治療者になりたければその基盤を作るには道教・仏教をしっかり勉強して人を救いなさい。」

はい、もちろんまだまだ勉強中の身です。

私が直接関わってきたのは李医師、趙医師の二人ですが、中国の中医トップクラスの医師は古代宗教の考え方を大事にしているといいます。

彼らの生き方は、修行者のように謙虚で学びを忘れず日々コツコツ徳を積み上げているような印象でした。

仕事柄、色んなドクターには会ってきましたが彼らが一番カッコイイ生き方をしているな~と思います。

私も彼らに近づけるように努力していきたいものです。

ここまでつらつらと私が関わってきた、お坊さん・道士・中医師の話をしてきましたが、中医学もとい漢方とお寺はどうやら関係があったようです。

最近ビジネス雑誌で気になる記事を見つけました。

お寺とは祈・癒・学・楽の複合施設でした。

法事・葬式の施設のように思われがちですが、本来、寺には癒=漢方薬・病院、学=寺子屋、楽=市・娯楽としての役割もあったのです。それが時代を経て祈りだけが残ってしまった。

2021.6.4号 プレジデント「どん底でも、悩まない練習」 より引用

江戸時代から明治に変わる時に「廃仏毀釈」がありましたね。どうやらその時に色々お寺の在り方も変わってしまったようです。

お寺に病院、漢方薬を提供する役割があるとは驚きですが、中医師が古代宗教を大事にするのはお坊さんの生き方と共通するものがありそうです。

それに、仏壇で使用するお線香は漢方薬の成分で出来ています。

お坊さんが手を清めるときに使用する「塗香」という粉状のお線香がありますが、使用されている材料は漢方薬に使われている生薬です。

これは身体に塗ることで邪を払える、邪を寄せ付けなくなることでも有名です。

人の注目を集める芸能人も魔よけのために付けているといいます。

↓「塗香」耳の後に付けると良い香りが漂ってくれます。アロマポットに水と入れて蒸発させると空間に上品な香りが漂います。

私は色んな人の縁で古代宗教から中医学を学ばせていただき、お仕事につかせていただいています。

まだまだ駆け出しの身ですが、お客さんを幸せにできるようになって、昔のお寺のように“癒し”や“学び”を提供できる人が集まる場所を作りたいものです。

住宅街の看板もない自宅サロンではありますが、来てくださっている方々、本当にどうもありがとうございます。

これからも中医学を通して一人一人の幸せを見出せるように努力してまいります。

引用文献:2021.6.4号 プレジデント「どん底でも、悩まない練習」 

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。