中医解説

中医・9種類の体質傾向①

中医では1人1人に合った治療計画を立てるにあたり体質傾向の把握が必須です。

今回は中国・広州市のヒールフォートクリニックの李宏福老中医師が解説してくれた9つの体質傾向をまとめました。以前クリニックのパンフレットで解説していたものを再編集したものになります。

李医師は私の師であり、30年以上の中医師経験と中国在住の日本人診療に関わってきた老中医師です。

今回は気虚体質、陽虚体質、痰湿体質の3つの体質傾向について載せます。

李医生の中国語原文も載せます。中文は中医薬の名前も記載されてますのでそちらも合わせてどうぞ。

1、気虚体質

□筋肉が柔らかい

□声が低い

□汗が出やすい

□疲れやすい

□風邪をひきやすい。病後の回復が緩慢。

□性格は内向的、慣れないことをするのが苦手。

このタイプは舌に歯の跡がついている、脈が弱いことが所見として診られます。治療では気を補う中医薬を処方します。また、日ごろから運動をして全身に気を巡らせるとよいです。

《中文》

常见患者肌肉松软、声音低、易出汗、易累、易感冒。病后康复㣪慢。性格内向。不喜冒险。舌边有齿痕。脉弱。需要堵补元气。补气健脾。

2、陽虚体質

□普段から手足が冷たい

□温かい飲み物、食べ物を好む

□何をするにも元気が出ない

□筋肉が丈夫でない

□冬は比較的厚着で夏はエアコンを好まない。

□性格は物静かで落ち着いている。静かな環境が好き。

このタイプは痰が絡みやすく、皮膚が張りやすい、下痢の回数が多いのが特徴です。陽が少ない偏った体質なので体の中の湿気を取り除き、身体を温かくすると良いです。治療では陽気を補う中医薬を処方します。

《中文》

阳气不足、平索畏冷、手足不温、喜食热饮、精神不振、肌肉不健壮。衣服比别人穿得多。夏天不喜欢空调。喜欢安静、性格多沉静、内局、易患痰饮、肿胀、泄泻、适应温补。化湿温阳。偏心阳虚者。桂枝甘草汤加肉桂常服。虚甚者加人参,脾阳虚者可选泽附子理中汤。

3、痰湿体質

□肥満傾向の体格

□腹部がふわふわして柔らかい

□顔の油脂が比較的多い、常に顔に油脂がある。

□ニキビができやすい

□汗っかき。

舌に粘着性のある苔が所見として見られます。このタイプは甘いもの、脂っこいものを食べ過ぎないこと、お酒を飲みすぎない方がいいです。また、食事は満腹食べないこと。治療では痰湿を取り除く中医薬を処方します。

《中文》

体型肥胖。腹部肥满松软。面部皮肤有脂较多。易出汗旦多粘腻。经常感觉脸上有一层油。口黏苔腻。应少食甜粘油腻。小喝酒,勿食过饱。多食健脾祛湿的清淡食物。常用半夏。茯苓 泽泻 瓜荽 白术 车前子等药物调理。

◆教えてくれた人◆

李宏福中医師

広州宏福診所ヒールフォートクリニックの主任中医師。中医師歴30年以上のベテランで中国在住の日本人の診療にも携わっています。

中医で全科目診療可能。中でも婦人科、小児科、精神科、免疫力強化の治療を得意とします。

ABOUT ME
中医セラピスト・伊藤
中医セラピスト・伊藤
作業療法士として脳外科のリハビリテーションに携わった後、中国に渡り中西医結合医療現場にて渡航医療のリハビリテーションに携わってきました。この経験をきっかけに中医科に興味を持ち、 広州市の邦里国際医療団に所属。中医師助手として老中医師から中医基礎・臨床を教わってきました。 5年間中国で経験を積ませてもらい、現在は栃木県宇都宮市で中医関連の仕事をしています。 本場中国で教わってきた脈診、陰陽五行理論を使った経絡治療を得意としています。 ブログは中国でお世話になった方々の支援を得ながら書かせていただいています。